环境科学I.DOC

環境科学（生活環境と健康） 　われわれが生活している“環境”について、現在ほど多くの関心を集めている時代は今まで存在しなかったと思われる。長い人類の歴史の中で、環境について特別意識しなくても生活にまったく支障を来さない時代がつい最近まで続いていたからであろう。しかしながら、産業革命などを契機に人類の活動量は飛躍的に上昇し、その後わずか200年程度で、もはや自然の自浄作用のみで環境の劣化を防ぐことが不可能な状態になってしまった。われわれに課せられた今後の課題は、このような状況をどのように打破し、永続的な人類の繁栄をもたらすかにについての具体策をつくり、それを国際協調?協力のもとに実行することにある。 　 　本講義では、まず地球環境や生態系について学び、多様な生物の中でヒトがどのように生活しているかを理解し、地球規模の環境に対して影響を与える環境汚染物質をはじめとするさまざまな要因について学ぶ。さらに、具体的な環境を構成する因子として水に注目し、浄化法や下水処理の原理を学び、水質汚濁の測定について理解する。つぎに、大気環境を汚染する物質について学び、それらがもたらす人体影響についても理解する。また、最近住生活に関する環境が問題になっていることから、室内環境について理解を深め、環境保全の観点から廃棄物の問題についても理解を深める。さらに、環境保全にかかわる法的規制についても学ぶ。 　このように、本講義では環境についてその現状を正しく理解し、環境汚染物質の成因、人体への影響、汚染防止、汚染除去などに関する具体的な知識と技能を修得し、環境の改善に向かって努力する態度を身につけることを目的とする。 授業計画 　１　環境科学—その位置づけと内容：環境科学とはどのように学ぶのか 　２　地球の歴史と生態系の成り立ち：地球誕生から現在まで、海の誕生、 　　　生命の発生と進化、生態系のしくみ 　３　地球規模の環境問題（１）：環境問題概論、エネルギーと物質、太 　　　陽放射と地球放射 　４　地球規模の環境問題（２）：大気圏の構造、温室効果、地球温暖化 　５　地球規模の環境問題（３）：オゾン層破壊、土壌汚染、森林破壊、 　　　砂漠化 　６　水環境（１）—水の浄化—：原水とその浄化、塩素消毒、高度処理 　７　水環境（２）—水質基準と分析—：各種水道基準と試験法 　８　水環境（３）—下水処理および排水処理—：水質汚濁、下水処理 　９　水環境（４）—水質汚濁指標—：排出基準、各種水質汚濁指標 １０　水環境（５）—富栄養化—：富栄養化、食物連鎖と物質循環、アオ 　　　コの発生 １１　大気環境（１）—大気汚染物質—：大気汚染物質および分析法、大 　　　気汚染に影響する気象要因 １２　大気環境（２）—酸性雨など—化石燃料の燃焼、酸性雨 １３　室内環境：室内汚染物質、シックハウス症候群 １４　廃棄物と環境保全：廃棄物の分類、PRTR法、典型七公害 教科書：　新しい衛生化学（廣川書店） 　　　　　教員の作成したノート 薬学教育モデル?コアカリキュラム C12 環境　（２）　生活環境と健康 一般目標： 　生態系や生活環境を保全、維持するために、それらに影響を及ぼす自然現象、人為的活動を理解し、環境汚染物質などの成因、人体への影響、汚染防止、汚染除去などに関する基本的知識と技能を習得し、環境の改善に向かって努力する態度を身につける。 【地球環境と生態系】 到達目標： 地球環境の成り立ちについて概説できる。 生態系の構成員を列挙し、その特徴と相互関係を説明できる。 人の健康と環境の関係を人が生態系の一員であることをふまえて討議する（態度）。 地球規模の環境問題の成因、人に与える影響について説明できる。 食物連鎖を介した化学物質の生物濃縮について具体例を挙げて説明できる。 化学物質の環境内動態と人の健康への影響について例を挙げて説明できる。 環境中に存在する主な放射能各種（天然、人工）を挙げ、人の健康への影響について説明できる。 【水環境】 到達目標： 原水の種類を挙げ、特徴を説明できる。 水の浄化法について説明できる。 水の塩素処理の原理と問題点について説明できる。 水道水の水質基準の主な項目を列挙し、測定できる（知識?技能）。 下水処理および排水処理の主な方法について説明できる。 水質汚濁の主な指標を水域ごとに列挙し、その意味を説明できる。 DO、BOD、CODを測定できる（測定）。 富栄養化の原因とそれによってもたらされる問題点を挙げ、対策を説明できる。 【大気環境】 到達目標： 空気の成分を説明できる。 主な大気汚染物質を列挙し、その推移と発生源について説明できる。 主な大気汚染物質の濃度を測定し、健康影響について説明できる（知識?技能）。 大気汚染に影響する気象