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1980年代初めのGE 1980年代の戦略 1990年代のGE 80年代から90年代への経営目標の変遷 GEの経営首脳の役割 GEにおける経営管理 全GEが共有する価値観 GEの成長戦略 　去る11月27日、有力経済紙 Financial Times が、恒例の「世界の最も尊敬できる企業（Worlds Most Respected Companies）」＊を発表した。その第1位にランクされたのはGEで、その会長兼CEOであるジャック?ウェルチが、「世界の最も尊敬できる経営者」の第1位にランクされている。 ＊ このランキングは、世界53ヶ国の648人のトップ経営者へのアンケート調査の回答を集計したものである。紙面に掲載されたのは、上位企業40社、上位経営者20人であるが、いずれも過半数がアメリカ企業、アメリカ人である。日本からは、企業ではトヨタ自動車（5位）、ソニー（24位）、本田技研工業（27位）、東日本旅客鉄道（27位）の4社が、経営者ではソニーの出井伸之社長（7位）、京セラの稲盛和夫名誉会長（13位）、トヨタ自動車の奥田碩社長（15位）の3人が、ランク入りしている。 　ジャック?ウェルチ（John F. Welch, Jr., Jackは愛称）が会長に就任したのは1981年のことである。その当時もGEは優れた評価を得ていたが、保守的な企業であるというイメージが強かった。その後、彼の企業リーダーとしての優れた手腕が遺憾なく発揮され、GEは現在では押しも押されもせぬ世界のトップ企業となった。彼は一体どういう風にGEを導いたのであろうか。　因みに、GEが設立されたのは1892年であるが、その歴史は発明王エジソンが1878年に創業した会社にさかのぼる。1898年にはダウ?ジョーンズ社が始めたダウ工業株30種平均株価の銘柄に選定されている。ダウ工業株30種に最初から採用された銘柄で現在も存続しているのはGE 1社のみである。 1. 1980年代初めのGE 　当時のGEのビジネスを大きく分類すると、下図のようになる。これはジャック?ウェルチが作成したもので、これからは3つのサークルの中に入る事業を第一としてその成長のために経営資源を配分する方針であることを明らかにしたものである。他方、サークルの外にあるものは売却または縮小方針であることを示している。サークルの内外を分けるメルクマールは、市場における地位、収益性などである。　1981年の営業収入は2,720億ドル（約6兆円）であったが、その部門別シェアを見ると、中核部門51％、テクノロジー部門30％、サービス部門19％であった。　1980年代初頭のこの姿が、現在はどうなっているのだろうか。その間ジャック?ウェルチは、どういう戦略を採ったのかを見て行くことにする。 2. 1980年代の戦略 (1) No.1またはNo.2を実現すべく資源の再構成を行う。 市場のリーダーとなること。No.1 またはNo.2 のルール。　原則として、いずれの事業部門においても、No.1 またはNo.2 にならなければならない。なれない事業部門からは撤退する。 実質ROI（投資収益率）が十分に高いこと。　GEが1980年代中葉に採用したROEの目標値は18～19％であった。 競争的優位を明確にすること。　必ず勝つ。言い換えれば勝てる勝負しかしない。 (2) グローバル市場に参加する。 国内市場ばかりではなく、国外市場にも積極的に進出する。 (3) 組織を再編成する。意思決定プロセスを簡素化する。 “セクター”制の廃止。（消費者セクター、サービスセクターなどの事業本部制） 意思決定プロセスの短縮。“ウェディング?ケーキ型（多段階）組織”の改廃。 3. 1990年代のGE (1) 90年代の事業分野 　80年代の上のような競争戦略や組織の合理化を経て、90年代を迎えたGEの業務範囲は次の図のようになった。 　80年代の初めと比べて顕著なことは、事業の種類がほぼ半減していることである。　（図1.）のサークルの外にあった事業はほとんどが売却されている。サークルの中にあった事業でも、タービン、建設機械、防衛、建設?エンジニアリング、原子力サービスなどが売却され、代わってアメリカ3大ネットワークの一つであるNBCが新たに加わっているほか、空調設備、電力システム、制御装置、受配電などのように、外からサークルの中に入ってきているものや、サークルの間で移動しているものもある。 (2) 90年代の経営方針～Big Company/Small Company Simultaneously～　90年代の経営方針は次の図のとおり要約することができる。 A. 事業戦略