加越沿岸広域海岸调査金沢河川国道事务所海岸课长土山明雄.PDFVIP

加越沿岸広域海岸調査 金沢河川国道事務所 海岸課長 土山 明雄 海岸係長 河原 武志 係員 ○星野 康弘 １．はじめに 加越沿岸は石川県西部に位置し、加佐の岬～滝崎 を対象とする沿岸であり、石川海岸を含んでいる。 石川海岸は古くから汀線後退や砂浜減少といった 侵食を受けており、昭和36年から直轄整備事業とし て離岸堤等の海岸保全施設の整備を行った結果、海 岸保全施設整備箇所付近の汀線はおおむね復元され てきたが、離岸堤の沖側や周辺海岸の侵食は更に進 行している状況であり、加越沿岸域における土砂動 態機構の把握が必要となった。そのため、加越沿岸 における広域的な土砂動態機構の把握を目的として、 平成14年～平成17年度に現地調査を実施し、実態把握 を行った。 図－１ 調査位置図 ２．加越沿岸の漂砂イメージ 加越沿岸の広域的な土砂移動機構を把握するために、過去に調査した深浅測量や波浪流 況観測の成果をふまえて、漂砂の卓越方向に違いが発生すると考えられる「冬期」と「春 ～秋期」の２時期における、漂砂イメージ（波による漂砂・海岸流による沿岸漂砂・流入 土砂・岸沖漂砂）について整理した（図－２参照）。しかし、この漂砂イメージは羽咋海 岸の土砂供給源及び漂砂方向、片山津海岸の侵食土砂の漂砂方向等の調査が不足しており、 今回の現地調査で不明な箇所の把握を行うものとした。 図－２ 既往の漂砂イメージ（冬期・春～秋期） - 1 - ３．調査手法 今回の調査は加越沿岸における漂砂機構を把握する為に、表－１で挙げた調査手法で現 地調査を行った。現地調査箇所及び調査範囲は図－３の通りである。 表－１ 調査手法 図－３ 調査位置図 ４．調査結果 平成14年度～平成17年度に実施した調査結果から説明する。 4.1 加佐の岬 沿岸漂砂の境界である加佐の岬では、捕砂器調査とトレーサー調査を実施した。 冬期のトレーサー調査結果では、南西～西方向と北～北東方向の２方向の漂砂の移動 を確認した。春～秋期調査時は若干であるが東側の岸方向（導流堤の方向）への移動を 推測することができた。捕砂器 調査では岸沖左右のいずれの方 向にもほぼ同程度の量を採取し ており、明確な漂砂移動は見ら れなかった。 以上の調査結果より、加佐の 岬では沿岸漂砂の境界であるた め、漂砂イメージの通り漂砂移 動を確認することはできなかった。 図－４ トレーサー調査結果（冬期） 4.2 手取川河口調査結果 手取川河口ではトレーサー調 査と捕砂器調査を冬期・春～秋 期に実施し、手取川河口の漂砂 移動を確認した。 冬期のトレーサー調査結果で は、漂砂イメージ同様に北東及 び沖側への漂砂移動の確認がで き、春～秋期調査でも同様に岸 図－５ 捕砂器調査結果（冬期） - 2 - 側への漂砂移動を確認できた。捕砂器調査でもトレーサ調査と同様に蛍光砂が北東方向 の流れを示していることが確認できた。 以上の調査結果より、手取川河口では既往の漂砂イメージと通りであることを確認す ることができた。 4.3 金沢港調査結果 金沢港では、トレーサー調査と捕砂器調査を冬期に実施し、金沢港における漂砂移動 を確認した。 トレーサー調査結果では中央粒径５㎜の蛍光砂の投入時に沖側への漂砂移動を確認で き、中央粒径0.5㎜の投入時には漂砂イメージと同様に海岸流による沿岸漂砂に向かう ための流れである北西の漂砂 移動を確認できた。 捕砂器調査でもトレーサ調査 と同様に