社会学的安全性と数学的安全性-JNSA.PDF

特集 社会学的安全性と数学的安全性 パナソニック電工株式会社　EMITプラットフォーム開発センター 福田　尚弘 　「計算量的安全性」は「情報理論的安全性」よりも弱 情報セキュリティの世界に触れ15年くらいが いとされている。しかし「計算量的安全性」は「情報 経つが、今後の情報セキュリティとどう向き 理論的安全性」よりも「経済的」であることから、盛 合っていくべきか悩ましい限りだと思ってい んに使われているのが現状だ。情報理論的安全性で る。情報セキュリティを守るために会社で「ガ は、一般に鍵長が長くなるため使われることが少な ミガミ」言われることがある。「うんざり」とい い。加えて、「計算量的安全性」に基づく公開鍵暗号 う人も多いだろう。永遠にこんなことが続く は「公開鍵」を相手が「信用」するという条件によっ のだろうか？ て成立するモデルにより鍵配布や鍵管理が簡便とな り、様々なセキュリティ・プロトコルで採用されて ここでは5年～20年先の情報セキュリティを いる（例えばSSL、IPsecなど）。これは通信での「利 n 見据えたところで、情報セキュリティ分野で 便性」においても役に立っている。 m u l o の社会学的研究が進んでいる。そういった研 C l a 究結果が得られた後の世界を予測し、過去の i c e 数学的な安全性の試みと合わせた見方で情報 ◆ インターネットの普及 p S セキュリティの未来を考えてみた。 　セキュリティ・プロトコルであるSSLやIPsecな 3 どは、インターネットの普及により盛ん