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国際空港のセキュリティと航空機テロの現状と課題 山内康英 多摩大学情報社会学研究所教授 次世代空港システム技術研究組合運営委員長 http://www.astrec.jp/ 1. 日本の国際空港の空港保安 2. 日本の関連した旅客機ハイジャックと航空機テロの推移 3. グローバリゼーションの進展 4. 空港セキュリティの諸課題 5. 日本の政策対応と今後の取り組み 1. 国際空港の空港保安 国際空港を事例とする空港保安および航空保安の推移と現状 航空旅客や鉄道?道路といった交通?運輸機関は、電力?ガスなどのエネルギー供給や、電話?放送などの情報通信などと同じように社会の重要インフラである。とくに国際航空旅客や国際空港は、継続的にハイジャックや施設の襲撃などテロの対象となっており、全般的なセキュリティの向上が重要になっている。 空港保安の観点からすれば、日本の国際空港(成田国際空港)は開港以前から左翼集団の政治活動の対象になっており、現在でも中核派(革命的共産主義者同盟)や革労協(革命的労働者協会)など過激派暴力集団によっていわゆる三里塚闘争が続いている。 航空保安の観点からすれば、国際空港はハイジャックや航空機テロなどの策源地となる可能性があるほか、違法な出入国や不拡散関連物資や技術の取り締まりなどについても重要な国家保安上の役割を担っている。 本報告は成田国際空港を事例として、空港保安および航空保安の推移と現状について調査検討する。 国際空港のセキュリティ問題に的確に対応するためには脅威の主体を特定し、その活動の時間的な推移と現状について把握することが重要と考え、まず、この問題を概観する。 左翼過激派集団による全国のテロ件数と成田空港関連の毎年の推移 左翼過激派集団による成田国際空港関連の事案の推移: 3回のピーク (1)70年代後半 開港直前の施設に対する直接の攻撃 (2)80年代半ば 80年代には千葉県の土地収容委員会メンバー、運輸省職員、 建設業者などへの個人テロ、 (3)90年代初頭 防衛庁や米軍施設への飛翔弾発射事件などを通した 政治的アピール (4)現時点 暴力的な活動は沈静化 他方、2005年7月に法務省が起こした管制塔占拠(1978年3月26日の事件)にともなう損害賠償請求訴訟判決に関する賠償の強制執行(約1億300万円)に際して、インターネットを通じたアピールなどにより、元実行犯(服役後社会復帰)に対する連帯基金が全国の関連組織などから集まり、管制塔被告団による支払いが期日までに完了するなど、いわゆる三里塚闘争に対する世論の関心は依然として高いことを考えれば、左翼グループなどによる政治的表出活動は今後とも継続することが予想される。 (1)70年代後半の状況 『警察白書』などによれば、1978年当時、極左暴力集団は成田闘争を最大の闘争課題に掲げ、現地に延べ約14万5000人、22回の主要闘争に約5万人を動員するとともに、前年を大幅に上回る121件のゲリラ事件を起こした。 福田内閣は、新国際空港の開港日を同年3月30日と発表し、警備当局は2月から、反対派の建設した横堀要塞などに強制収容のための大量動員を行っていた。 これに対して「3.26開港阻止闘争」では、極左暴力集団は約1万人を動員し、「第4インター日本支部」を中心とする約300人が改造トラックや火炎自動車を使用して空港構内に侵入した。 この横堀要塞および空港ゲートから突入したグループを陽動として、別働隊十数人がマンホールを通じて管制塔を占拠し機器類を破壊した。 このため開港は5月に延期となった。極左暴力集団は、3月26日を中心に「航空保安協会研修センター放火事件」等を起こすとともに、再度、横堀要塞に妨害鉄塔を建てて妨害行動を繰り広げた。 (2)80年代半ばの状況 極左暴力集団は、1986年の前半は昭和天皇在位60年記念式典とG-7東京サミットを、後半は成田空港と国鉄分割?民営化をめぐって多数のテロやゲリラ事件を引き起こした。 この時期の特徴は、新型迫撃弾、設置式爆弾、手投げ爆弾、時限式発火装置等の製造など、左翼ゲリラの武力闘争が専門化したことと、攻撃の対象が全国の神社や皇室関係施設、警察施設や自衛隊施設等の官公庁施設、外国公館、米軍施設、国鉄?私鉄関係施設、新東京国際空港関係施設、運輸省職員や成田空港の関係業者(建設業者、航空機整備業者など)の個人宅などに拡大したことである。 1988年9月には、千葉県収用委員会会長がテロで重傷を負い、その後、委員全員が辞任するという事件が起きた。 (3)90年代初頭の状況? (4)90年代半ば 90年代初頭の極左暴力集団の活動は、天皇の即位の礼および大嘗祭(1990年)とカンボジア国連平
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