牛若と弁庆.docVIP

牛若と弁慶 楠山正雄　　　　　一　むかしとがをして、おいにったりけたりしていたのことでした。のには、やのほかに、、、という三のがありました。ちょうどいちばんさいがまれたばかりのとき、のがくなりました。はけて、げかくれているうちに、のというものにされました。　のは、にかたきをられることをこわがって、のをつけしだいそうとかかりました。　ののは、三のをれて、ののにかくれていました。　はいくらをしてもつからないものですからって、のおかあさんのというおばあさんをつかまえて、「のいるところをいえ。いわないとしてしまうぞ。」　とひどくせめました。　はこのことをいて、「おかあさまをしてはすまない。わたしがのって出ても、たちはまださいから、たのんだらさずにおいてもらえるかもしれない。」　とって、へ出かけました。　ちょうどのことで、がたいそうっていました。はをにれて、の手をひいて、の中をいて行きました。はそのあとからついて行きました。　さんざんをして、のいるののやしきにくと、は、「おたずねになっているでございます。三のをつれて出ました。わたくしはされてもようございますから、のをおけさいまし。たちもこのりさなものばかりでございますから、だけはどうぞおけさいまし。」　としました。　のいたいたしいをると、さすがのものにって、そのいをきとどけてやりました。　それでととはだけはかって、おへやられました。はまだおをんでいるので、おかあさんのそばにいることをされましたが、これも七つになるとのおへやられました。　そのうちはだんだんがわかってました。おとうさんがのためにぼされたことを人からいて、くやしがってきました。「おなんかよんで、さんになってもしかたがない。おれはをけいこして、えらいになるのだ。そしてをぼして、おとうさまのかたきをつのだ。」　こうはって、にがいたくなりました。　のおくにガという谷があります。やがっていて、も日のがささないようなでした。はでをやってみようとって、人がしずまってから、おをぬけしてガへ行きました。そしてそこにたくさんんでいるの木をのにてて、その中で一ばん大きな木にというをつけて、さなでぽんぽんちました。　するとあるのことでした。がいつものようにガへ出かけてのおけいこをしていますと、どこからかのばかにい、げるようなが、手にうちわをもって、ぬっと出てました。そしてだまってのすることをていました。はにって、「おはだれだ。」　といいますと、そのはって、「おれはこのガにむてんぐだ。おのはまずくってていられない。からおれがえてやろう。」　といいました。「それはありがとう。じゃあ、おしえてさい。」　と、はをるってってかかりました。てんぐはかるくうちわであしらいました。　このからてんぐはにをおしえてくれました。はずんずんがうまくなりました。　するうち、がおそくガへ行って、あやしいからをおそわっているということをさんにげしたものがありました。さんはびっくりして、さっそくをよんで、をってさんにしようとしました。は、「いやです。」　といいながら、いきなりに手をかけて、こわいをしてさんをにらめました。　そのいにおそれて、をることはめました。　はこうしているとまた、「さんになれ。」　といわれるにちがいないとって、あるそっとをりてへ出ました。　はもう十四、五になっていました。　　　　　二　そのころののに、といういさんがありました。このはまれるおかあさんのおなかに十八もいたので、まれるともう三つぐらいのの大きさがあって、のがもじゃもじゃえて、大きながにょきんと出ていました。そしてずんずん口をききました。「ああ、るい。」　はじめておかあさんのおなかからとびしたとき、こういっていきなりちょこちょこときしたそうです。おとうさんはをわるがって、大きくなるとすぐ、おへやってしまいました。おへやられても、まれつきたいそうのあらい上に、この上なくがいので、すこしにくわないことがあると、ほかのさんをぶちました。ぶたれてんださんもありました。みんなはというと、ふるえがってこわがっていました。　そのうちにののというおのさんがくなりますと、はにそこにりこんで、のとのりました。　あるはおもいました。「はなんでも千というをそろえてつものだそうた。のはいいを千と、を千りょうそろえてっている。ののはを千ちょうとうつぼを千そろえてもっている。おれもを千そろえよう。へ出てめたら、千くらいわけなくできる。」　こうえて、はおどしのの上にぞめのをて、いをかぶり、なぎなたをについて、ののたもとにっていました。そしてよさそうなをさした人がると、だしぬけにとびして行っていとります。げようとしたり、すなおにさなかったり