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11.1 積雪寒冷地における流域からの濁質流出と 環境への影響評価・管理手法に関する研究 11.1 積雪寒冷地における流域からの濁質流出と環境への影響評価・管理手法に関する研究 研究予算：運営費交付金（一般勘定） 研究期間：平 23～平 27 担当チーム：水環境保全チーム・寒地河川チー ム 研究担当者：浜本聡、矢部浩規、西原照雅、水 垣滋、林田寿文、丸山政浩、村上泰啓、阿部孝 章 【要旨】 流域及び河口・海岸の浮遊土砂生産源を明らかにするために、濁度計による SS 濃度推定手法の構築とトレー サによる土砂生産源推定法の検証を試みた。また流域の浮遊土砂、河口・海岸の堆積土砂の粒径組成と生産源を 比較した。SS 濃度は濁度に加えて流量をパラメータに組み込むことで精度よく推定され、浮遊土砂流出量の定 量評価が可能となった。同時に放射性同位体トレーサにより推定した浮遊土砂の生産源寄与から土砂生産量を地 質別に評価でき、地質による土砂生産量の違いを地すべり地や崩壊地、傾斜の分布特性で説明することができた。 また浮遊土砂、河口・海岸の堆積土砂の生産源は粒径組成に大きく依存する可能性が示された。 キーワード：濁度計、SS、生産源推定、放射性同位体、粒径組成 1．はじめに 年までに約500 mの汀線の後退が認められ（図-1）、 水・森林資源開発や高度な土地利用開発、治水対 越波被害が報告されている。鵡川河口域は、北海道 策といった人口増加に伴う流域の改変は、河川を通 でも最大規模の河口干潟があり、渡り鳥の重要な休 した水・土砂・物質の動態を変化させ、少なからず 息の場として、北海道を代表する自然環境を形成す 河川の環境に影響を与えてきた。またゲリラ豪雨に るが、海岸侵食に伴い干潟が消失するなど 1)、国土 代表される気候変動の影響によって崩壊や地すべり 保全だけでなく生態系保全の観点からも海岸侵食の といった大規模な土砂生産・流出が各地で頻発し、 防止が求められている。 長期的な濁水の発生をもたらしている。北海道にお 流域からの流出土砂のうち大部分を占める浮遊土 いても、高濃度の濁水は、水道取水の停止や漁獲量 砂は、河川高水敷や干潟・沿岸域を構成する成分と の減少、サケやシシャモの産卵床の減少など、さま して適切な土砂供給が求められている。一方、シル ざまなインパクトを与えている。 ト・粘土などの微細粒分が過剰な場合、水質・生態 一方、1950年代以降、全国的に顕著な海岸侵食が 系に大きな影響を与える可能性がある。浮遊土砂は、 指摘されており、鵡川河口周辺では1948年から2006 大半が山地から海域まで河床にとどまることなく流 鵡川 M1 沙流川 S1 5 6 2 3 4 7 9 10 11