DKB の耳鼻咽喉科領域の使用経験.pdfVIP

VOL. 22 NO. 5 CHEMOTHERAPY 981 DKBの 耳 鼻 咽 喉 科 領 域 の 使 用 経 験 粟 田 口省 吾 ・斎 藤 久 樹 弘前大学医学部耳鼻咽喉科学教室 工 藤 肇 弘前大学医学部附属病院中央臨床検査部 I.　緒 言 0.4mcg/mlで13例(35.2%),0.8mcg/mlで17例 Aminoglucoside系抗 生物 質 は,す で に,kanamycin, (45.9%),1.6mcg/mlで7例(18.9%)であ り,DKB streptomycin,fradiomycin,paromomycin,gentami- は,当 科における緑膿菌感染 に対 して強い抗菌力が期待 cin,aminodeoxykammycin,vistamycin等が 臨床 で されることを示 していた。 なお,Psmdmmnasaerugi- 使 用 され てい る。 これ らは,グ ラム陽性 菌,陰 性 菌 にま mosaA8のMICは0.2mcg/mlであつた。 た が る広 い抗 菌 スペ ク トル を有 し,副 作用 に聴器 毒性 を 2.　臨床成績 有 す る。 また,菌 種別 の抗 菌力 や,副 作用 の強弱 に差 異 使用対象は,上 顎腫瘍の術後患者8例,喉 頭腫瘍の術 が あ る こ とが知 られ てい る。 後患者1例,急 性中耳炎2例,扁 桃周囲膿瘍1例,急 性 我 々は最 近,カ ナマイ シ ソ誘 導体 で,緑 膿 菌 お よび各 喉頭炎1例 の計13例 である。投与方法 は,年齢,症 状 種 耐性 菌 にそ の臨床 効果 が期待 され てい るDKB(3,4- に応 じて異 なる。1日 投与量は,局 所注入 にはDKB50 DideoxykanamycinB,分 子 式 はC18H37O8で,構造 式 は mgを 生理食塩水5～10m1に溶解 して使用,筋 注には Fig.1に示 す)の 試 供 品 を明治製 菓株 式会社 か ら受 け, DKB50～100mgを生理食塩水2m1に 溶解 して使用, 臨 床 的 に試 用 す る機 会 を得 た ので,若 干 の基礎 的検討 と 点滴静注はDKB50～100mgを生理食塩水500m1また あわ せ て,そ の結果 を報 告 す る。 は,乳酸 リンゲル液500m1に溶解 して使用,ネ ブ ライ ザーはDKB250mgを生理食塩水1mlに溶解 して使用 Fig.1 Structural formula of DKB した。効果判定基準は,今 回の症例は,上 顎腫瘍 の術創 の局所混合感染な ど,疾患の性質上,治 癒 しに くい例が 多いので,有効,や や有効の3つ に分類 した。す なわち, 主要 自他覚症状が3日 以内に改善 した場合を有効 とし, 主要 自他覚症状の改善 に3日 以上要 した場合をやや有効 II.　研 究 方 法 とし,DKBの投与にてほ とん ど症状の緩解が得 られな 1.　基礎的検討 い場合を無効 とした。 当科 の患者か ら新鮮臨床分離 した緑膿菌37株 のDKB 臨床効果は,Table1に示す とお り,上顎術創に局所 龍対す るMICを 日本化