遗産动机と経済成长.PDFVIP

〔論文〕 弘前大学経済研究第34号 80-93頁 2011王手12月26日 遺産動機と経済成長 仲間瑞樹 つの遺産動機すべてにおいて，相続税重課によ 1. はじめに る賦課方式の公的年金政策が，経済成長率に影 響を与えないと結論づけている。これは利他的 個人が若年期と老年期の2期間生存し，老年 遺産動機以外の遺産動機でも，Barro涜の政策 期の個人 親問代（ ）と若年期の個人 （子世代） 無効論が認められる乙とを示唆している。また が共存するDiamond (1965）型の2期間世代 遺産動機を含む2期間世代重複モデルに人的資 重複モデルは，個人が子世代以降の厚生を最 本を加え，賦課方式の公的年金政策が経済成長 大にするために遺産を与えるといった， Barro 率にもたらす経済効果を分析したケースもあ (1974 ）による利他的遺産動機によって，私的世 る（Sanchez-Losada,2000;Lambrecht,Michel 代間移転を含む2期間世代重複モデ、ルへと広が andVida,l2005）。Sanchez-Losada (2000）で りをみせた。その後，内生成長モデルの発展に は，遺産の規模そのものから効用を得る消費遺 ともない，私的世代間移転を含む2期間世代重 産動機が採用され，労働所得税財源による賦課 複モデルに， 内生成長モデルを取り込んだモデ 方式の公的年金政策が経済成長率に与える経済 ル分析もなされるようになった。内生成長モデ 効果を分析している。Lambrecht，ν1icheland ルを取り込んだモデル分析は，次の聞に対する Vidal(2005）は，親世代が子世代の可処分所 解答を与えることに寄与 した。ます＼ある遺産 得を考慮して遺産を与える遺産動機 （ Family 動機が機能する経済において，政府の政策は経 Altruism）を採用し，定額税そして労働所得税 済成長率に対 して，どのような経済効果をもた 財源による賦課方式の公的年金政策が経済成長 らすのか？同ーの政策が経済成長率にもたらす 率にもたらす経済効果を分析している。 経済効果は，遺産動機の差異に応じて異なるの ただし以上の先行研究で見過ごされている か否かっ 点もある。まずIhori(1994a）では相続税財 その解答例の lつがIhori(1994a),Ihori(1994b) 源による賦課方式と積立方式の公的年金政策， である。Ihori(1994a), Ihori(1994b）ではAK Ihori(1994b）では相続税財源による賦諜方式 型生産技術が採用され， 3つの遺産動機（利他 の公的年金政策のみが扱われ，相続税以外の税 的遺産動機，消費遺産動機，戦略的遺産動機） 財源や公的年金政策以外の政策が考慮されてい がそれぞれモデル化される。そして相続税財源 ない。さらに個人所得は資産所得すなわち親 による賦課方式，あるいは積立方式の公的年金 世