有识者本部员意见书.PDF

意見書 インターネットは、国境の壁を越え、地球上に生きる人間がひとつにつな がる世界をつくるというる人類の理想をデータ通信によって実現した。しか しながら、現在の人間が生きるのは、あくまでそれぞれの地域を支配する国 家であり、社会の秩序はそれぞれの国家が定めた各種のルールによって保た れている。人類の理想を体現したはずのインターネットが、既存の法秩序の 及ばない抜け穴として悪用されるのは、インターネット本来の使われ方でな いだけにとどまらず、国家の存在意義への重大な挑戦であるといえる。 近年とみに問題となっている漫画村をはじめとする著作権侵害サイトは、 日本人向けのサービスをおこなっているにも関わらず、日本の司法権力の及 ばない海外にサーバーを設置している。また、海外の事業者を装った場合 は、インターネットの匿名性を利用すると、運営者がだれなのかを突き止め るのすらも困難である。収益源を断とうとしても、これも海外の広告配信業 者を経由されると根本的な解決は不可能となっている。これらはすべて日本 の法権力が海外まで及ばないこととインターネットが世界とつながっている ことを巧みに利用した脱法行為に他ならない。 これらの問題の根本的な解決のためには、違法行為をおこなうインターネ ット通信をなんらかの手段で制限するサイトブロッキング等の手法しか、そ もそも原理的に不可能である。インターネットの利用を制限するような手法 はインターネットの自由、通信の秘密などの重要な価値との関係にも留意を 払うべきであるのは当然であり、十分な議論が必要とされるのだとしても、 しかしながら、現状の事態は深刻であり、このままではコンテンツ産業の基 幹が揺るがされるだけにとどまらず、若い世代を中心にコンテンツにお金を はらうという価値観や文化まで失なうことになり、長期的かつ壊滅的な悪影 響がもたらされる可能性は極めて高い。 政府にあっては長期的な視野にたった立法作業とは並行して、現在の緊急 かつ重大な危機に対して、サイトブロッキングを含む有効かつ速やかな対策 を実施いただきたい。 平成30 年4 月13 日 知的財産戦略本部員 川上量生 海賊版サイ トに関して 日本の大学に留学する学生に日本を選んだ経緯を聞くと、日本のアニメ を含めたコンテンツや文化が日本に関心を持つ重要なきっかけとなって いることが多いことに気づかされる。また、日本のアニメコンテンツは文 化的価値にとどまらず、未来社会の良いシナリオ、悪いシナリオについて 想像力を持って描いたものも少なくない。その点で、未来社会の在り方に 関する議論やイノベーションの促進にも寄与しているという見方もある。 このように日本文化や日本の魅力を世界に伝え、産業上も重要な役割を 果たしているコンテンツは、創作者とその創作を流通させる産業基盤の上 に成り立っている。この点、コンテンツ創作者の権利を守り、コンテンツ 産業を発展させることは極めて重要であることを鑑みると、今回問題とな っている海賊版サイ トについては、日本文化と日本の産業双方に対して大 きなダメージを与えうるものとして、深く懸念するものである。 このような悪質な海賊版サイ トの問題は、法改正等を通じて一刻も早く 抜本的に解決することがなによりも重要である。 政府においては速やかな対応と検討をすすめていただきたい。 平成３０年４月 １３日 知的財産戦略本部員 五神 真 意見書 マンガ・アニメは浮世絵や絵巻の流れを引き継ぐ、日本の誇る文化である。その広範 な影響力を含めて重要なコンテンツとして世界に発信され、日本の理解者を増やすこと にも貢献している。ところが最近、インターネットの発展に伴い、アナーキーな商法が 横行するようになり、現在、ネットを巧妙に使った海賊版の無料サイトが問題になって いる。 「無料で最新のコ