志岐常正Citation日本全国沿岸海洋志1985-京都大学学术情报.PDFVIP

Title第24章 若狭湾 (日本全国沿岸海洋誌) Author(s)志岐, 常正 Citation日本全国沿岸海洋誌 (1985): 947-957 Issue Date1985-07 URL /2433/87380 Right© 1985 東海大学出版会 Type Book Textversionpublisher Kyoto University 947 島先端の経ケ岬と東の越前岬とを結んだ線で外洋と区 分されラその形状は広い間口と浅い奥行きによって特 徴づけられる(第 1図入京都府と福井県の両府県にま 1.海域の概要 たがる海岸線は，典型的なリアス式の様相を呈して複 若狭湾は，日本本土のほぼ中央部に位置し，日本海 雑に入り組み，多数の校湾および付属湾が発達する. 倶JIにおける数少ない大型湾の一つである.西の丹後半 最大の枝湾は最西部に位置して丹後半島と大浦半島で 3530N 第 l図 若狭湾海窟地形図[海上保安庁水路部 (1980a，b)を一部改変] 黒丸は窟質粒度分析試料採取地点，直線は由良川沖調査定線をそれぞれ示す@ 948 第24章若狭湾 I地質 縁どられた丹後海でその奥部の左右の偶角部に宮津ヲ 2.湾岸陸域の地形 栗田9 舞鶴の付農湾を伴う。以下，西部から東部にか はラ全域にわたって山地が海岸に迫り， けて内浦湾ラ高浜湾ラ小浜湾，矢代湾9 世久見湾ヲ敦 平地としては，由良川流域と敦賀平野の他はラ湾入部 ど大小さまざまの枝湾がIJ買に並ぶ@若狭湾の水 に流入する小河川が河口付近に小さな扇状地三角州を 深は，湾口中央部東寄りでもっとも深く，260mを超え つくっているに過ぎない. るが， 60-100mの部分が全体の 50%近くを占め，湾 山地の上にはラ小起伏平壌面のブロック化した名残 全体の平均水深は約 100mである.湾の総面積は りが各所に認められる.とくに西岸の丹後半島では9 3に及ぶ\若狭湾およびそれ 400-600mの定高性の平坦面が残存していることが 2，657km九容積は 264km 5 に含まれる諸枝湾，付属湾の大きさに関する 古くから指摘されている(田山， 1928;)水山， 1978)). 1表にまとめられている. また，東岸の福井海岸でも，600mから数段にわたる平 湾内に流入する河川の中で最大のものは丹後海に注 坦面が存在する(新野， 1950)?) ぐ由良川で，流量の少ない時で約 3 梅岸段丘は湾口付近両岸にのみ顕著である。東岸の 15m/秒，最大で約 240m3/ 3/ 越前岬付近には 60-100mおよび約20mの標高をも 秒，平均して約30m 秒の陸水が流入してお り(中山， 1956);) 水質ばかりでなく底質の面でも丹 っ段丘が発達す