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第七章　日本人の「甘え」 著者：土居健郎 （どい たけお、1920年3月17日 - 2009年7月5日）は日本の精神科医、精神分析家。東京大学名誉教授、聖路加国際病院診療顧問。東京生まれ。東京帝国大学医学部卒業後、米国メニンガー精神医学校（Houston, TX ）、サンフランシスコ精神分析協会に留学。 「甘え」＿＿＿拗ねる　　僻む　捻くれる 　　　　　恨む　　自棄になる　取り入る 　　　　　拘る　　気軽　　蟠り　照れる　 　　　　　甘んずる　　遠慮する　　頼む 一、「甘え」の文化心理 甘えの心理的原型は、母子関係における乳児の心理である。「甘え」は母子の分離の事実を心理的に否定し、母子の一体感を求める心理である? 日本語に「甘え」という言葉があることによって、この心理が大きくクローズアップされることになり、日本人の精神生活のあらゆる面に強い影響を与えている? 「甘え」の感受性が日本人の審美観に大きく影響しているように思われる? 一般に美というのは、対象の与える印象が感覚に快い場であって、対象の美を享受する者が、対象と一つになっている体験であるが、これは「一体感を求める」「甘え)の体験と似通うところがある。 「大人になる」ことは「甘え」心理を抑圧するわけではなく、「甘え」心理に対する感受性の上達を意味する。 二、「甘え」の人間関係 「義理」と「人情」や「内」と「外」、及び「遠慮」は日本の人間関係に存在する特有なものと考えられる? 「義理」とは、もともと自然発生的に人情が存在する親子や同胞の間柄と違って、言わば 人為的に「人情」が持ち込まれた関係が「義理」である? 「義理」はいわば器で、その中身は「人情」であると考えられる? 「内弁慶」　　 「旅の恥は掻き捨て」 三、「甘え」の社会体制 現実社会に、「甘え」は「地位の差」と「権威」を前提とし、下位者の上位者にたいする依存として表されている。 今日の社会の人間関係は「容易に人を甘えさせない」ようになり、かくして「甘え」たい気持ちは欲求不満に陥り、「恥」の感情は恐怖に陥っている。 四、「甘え」の病理表現 「とらわれ」 対人恐怖 「気が済まない」 同性愛的な感情 悔やむ　悔しい 被害感 「自分が無い」 　　　　　　　　「甘え」と自由 締めくくり 土居氏によれば、「甘え」は他者に依存したい ないし他者との一体感を求める欲求である? * *