访日中国人旅行现状课题_Image_Marked.pdf

5 　訪日中国人旅行の現状と課題 訪日中国人旅行の現状と課題 藤沢　宗輝 目　次 はじめに Ⅲ　わが国の取組みと課題 Ⅰ　わが国の国際観光の現状 　 1 　訪日中国人観光客の概要 　 1 　成長戦略としての観光立国推進 　 2 　訪日中国人の消費動向 　 2 　VJC以降の訪日外国人数の推移 　 3 　訪日中国人観光の課題 Ⅱ　中国人外国旅行の進展 新たな交流の拡大に向けて―むすびに代え 　 1 　外国旅行の進展と日本の受入れ態勢 て― 　 2 　中国人外国旅行の現状 はじめに 　近年、日本と中国の関係は、政治、経済、文化などの様々な領域で、より密接なものとなっ ている。その中においても人的交流の拡大は重要な側面であり、観光客の往来も、その一環と して見逃せない要素であると言えるだろう。 　産業政策の側面からも、2010年 6 月に閣議決定された「新成長戦略～「元気な日本」復活の シナリオ～」（以下「新成長戦略」） で、7 つの成長分野の 1 つとして「観光立国・地域活性化戦略」 が掲げられており（1） 、観光産業は、21世紀のわが国を支える成長産業の 1 つとして注目を集め ている。経済成長に伴い急速に外国旅行の需要が増大している中国人旅行者をどのように取り 込んでいくかは、「新成長戦略」も指摘するとおり、大きな課題となっている。 　一方、中国人にとっての訪日旅行が成熟化すれば、旺盛な購買力が発揮される買い物を目的 とした観光だけでなく、より多様な観光資源・ルートに注目が拡がっていく、との見方もある。 地方独特の魅力の発信方法や観光プランの提案にも工夫が求められるようになるだろう。 　本稿では、わが国で期待の高まる訪日中国人旅行の促進に向けて、現状を整理し、新たな交 流に向けた課題について概観する。 Ⅰ　わが国の国際観光の現状 1　成長戦略としての観光立国推進 　21世紀を迎えてからの10年間で、観光は経済成長のための大きな柱の 1 つとして、これまで 以上の期待と注目を集めるようになっている。国土交通省は2003年、訪日外国人を「2010年ま （ 1 ）「新成長戦略～「元気な日本」復活のシナリオ～」2010.6.18, pp.23-24, 45-46.　首相官邸HP〈http://www.kantei. go.jp/jp/sinseichousenryaku/sinseichou01.pdf〉なお、本稿におけるインターネット情報の最終アクセス日は2011年 1 月 6 日である。 総合調査「世界の中の中国」 215 Ⅲ　日本と中国―人的交流の視点から― でに1000万人」にするため、官民が共同して訪日旅行の促進に取り組む「ビジット・ジャパン・ （以下VJC） （2） キャンペーン」 を開始した 。そして、2006年には議員立法により観光立国推進基 本法 （平成18年法律第117号） が制定され、2008年10月には国土交通省の外局として観光庁が発足 （3） するなど、国会と政府は共に観光重視の姿勢を明確に示してきた。 　2009年に発足した民主党を中心とする連立政権も、同年12月に基本方針を、2010年 6 月には 全体を閣議決定した「新成長戦略」の中で、「2020年初めまでに2500万人、将来的には3000万人」 の訪日外国人を迎え、「経済波及効果