论説铁时代より合金时代へ-J-Stage.PDF

論 説 鐵 時 代 よ り合 金 時 代 へ＊ 理學博士 本 多 光 太 郎 I. 鐵 と 文 明 鐵は歴史上人類 と最 も古 くより密接 な關係 鐵 は天然 に存在 しないが酸 化物 ・硫 化物 ・炭 を持つて居 る金屬の一である.人類 の歴史を 酸鐵等 の 化合物 として見 出 さる.隕 石 は天 よ 其の使用器具に依つて區別すれば最 も古 きは り降 る鐡 で天然 産 として唯 一の ものであ るが 石器時代で次で青銅時代 とな り遂に現代の鐵 純粋 の鐵 でない.鐵 と數%の ニ ッケル との合 時代 とな り將に合金時代 に入 りつ ゝあるので 金 である.隕 石 は極 く古 い頃 よ り埃 及人 に知 ある.即 ち最 も古 き未 開人は天然 に多量に存 られ て居 た ことは ピラ ミッ ド中にある王棺 内 在する岩石 を加工 して器具刄物等 を作つて使 よ り發 見 さる ゝ事實 に よつ て明か であ る.埃 用 した.之 が所謂石器時代である.又金屬 中 及人 が鐵 を使用 し始 めたのは紀元前3,000年 で最 も早 くより人類 に知 られて居たのは金銅 頃 であるが,之 を盛 に使 用す るに至 つたの は 等の如 く天然 に仔在する金屬である.金は特 紀 元前1,200年頃 と言 はれて居 る.之 が即 ち に其の色の鮮 かなる爲 め未 開人の注意 を引 き 鐵 時代 の始 であ る.鐵 鑛石 よ り鐵 の精 錬 は鐵 飾 物 と して珍重 されて居 た.銅 は軟 かで種 々 鑛 石 を木炭 にて熱 す るに始 まつ た もの で あ の形 に作 るこ とが出來 る所 よ り器具 として使 る.又 埃 及人 は鐵 を優良 な る刄物 に作 つて使 用 された,青 銅 は銅 と錫 との合 金 で銅 に比 し 用せ るのみな らず,現 今 の所謂燒入硬 化法 を て硬 く丈 夫 で且つ熱 に依 つて容 易 に鎔解 す る 行 つて居 た ことは埃 及 の古墳 よ り發 見せ らる か ら盛 に使 用 された.殊 に刄物 として多 く使 る刄物 に よつ て知 るこ とが出來 る. 用 された.現今青銅は銅 と錫 とを鎔 し合せて 以上述 べ た如 く鐵 の精錬 は極 く古 くよ り始 作つて居 るが大古に於ては天然 に存在する銅 りた るに拘 らず,其 の後 の進歩 は甚 だ徐 々で の鑛石 と錫の鑛石 とを混合 し之 を加熱 して作 漸 く14～15世紀 の頃 よ り著 しい進歩 を始 め, つた ものである.此の時代が即 ち青銅時代で 殊 に前世紀 の後半 に於 て急速 の發展 をな し, ある.勿論石器時代 と青銅時代 とは一部重 り 遂 に現 今使 用せ らる ゝが如 き製鐵法 を見 るに 合つて居 る. 至 つたの であ る. ＊本講義 は11月28日本多光太郎先生が大同電氣製鋼所築地工場に御來場の折 ,特に職員一同に御講義下 さ つた ものの速記録である.文責 は編輯員にある. 4 電 氣 製 鋼 第十二卷 II. 鐵時代 より合金時代へ 鐵 は珪素アル ミニウムに次で最 も多量に地 として使用す るに適す る. 殼 中に存在す る金屬であるのみな らず,其の