直方晶系斜方晶系.pdf

「直方晶系（斜方晶系）」への対応 平成 27 年 10 月 28 日 日本鉱物科学会 鉱物科学に関する用語検討委員会 Orthorhombic の訳語を「直方晶系（斜方晶系）」と，日本結晶学会は昨年度の総会で決議しました（日本結晶学会誌Vol. 57, No. 2, pp. 131-133）。これに伴い，「斜方輝石」のような「斜方」の入った名称について，和文誌，教科書，試験問題や解答 での記述などに少なからず混乱を招くことが懸念されます。そこで，そのような混乱を防ぐにために，日本鉱物科学会とし ての公式な対応を示すことになり，当委員会が設置されました。諮問に対する案を，平成 26 年度第 3 回評議員会にて答申 し，承認を受けて平成27 年 9 月 26 日の平成26 年度定例総会（東京大学）で報告され，原則承認されたところです。 「斜方」の付く鉱物和名への対応 鉱物の和名は，他分野での用語の変更（例えば，化学用語の，珪素→ケイ素，蒼鉛→ビスマス，苦土→マグネシウム，ヒ ドロニウム→オキソニウムなど）には必ずしも追随していません。今回も，結晶学とは独立に変更しない，という選択肢も あります。しかしながら，日本結晶学会の orthorhombic の訳語を「直方晶系（斜方晶系）」とする決議の主旨は，誤解の無 い訳語として「直方晶系」を新たに推奨しつつ，旧来からの「斜方晶系」も継続して容認する，というものです。そこで， 次の世代への配慮を込めつつ，慣用も温存する日本結晶学会の決議に対応し，次のように和名命名の基本とします。 (1) 直方輝石など「直方」を用いた和名を，旧来からの斜方輝石など「斜方」を用いた和名と共に公認し，和文誌，教科書， 試験問題や解答での記述で使用できることにする。 (2) 現状で慣用されていない新たな和名（例えば，「オルソ輝石」）は，将来特段の必要性が生じた場合までは原則認めない。 (3) 字表記の直方，あるいは斜方を基本とし，片仮名表記（チョクホウ，シャホウ，オルソ等）は使わない。 (4) 今後，直方晶系の意味で”ortho”のついた学名（英名）が新たに承認された場合には，それに対する和名も準拠する。 (5) 同じ論文の中では，「直方」と「斜方」の混用は避ける。ただし，当面の間は，直方輝石など「直方」を用いる場合に は，原稿初出部分で，「直方（斜方）輝石」のように併記するか脚注を記して注意を喚起し，以降は簡素に「直方輝石」 の表記に統一する。ただし，引用部分や引用文献の一覧では，原著のままとして，混用を認める。 学名(英名)等 和名 種名にorthoがあるもの bario-orthojoaquinite Ba Fe2+ Ti O (SiO ) ·H O 重土直方ホアキン石 重土斜方ホアキン石 4 2 2 2 3 8 2 orthobrannerite U4+U6+Ti O (OH) 直方ブランネル石 斜方ブランネル石 4 12 2 orthojoaquinite-(Ce) NaBa Fe2+Ce Ti (SiO ) O (O,OH)·H O セリウム直方ホアキン石 セリウム斜方ホアキン石 2 2 2 3 8 2 2 orthojoaquinite-(La) NaBa Fe2+La Ti (SiO ) O (O,OH)·H O ランタン直方ホアキン石 ランタン斜方ホアキン石 2 2 2 3 8 2 2 orthominasragrite V4+O(SO )·5H O