第二次世界大战前经济.pdf

52 (52) 経済学研究第17巻第1号 なく， 20世紀初頭以来，徐々に形成されたというべきであるが，第 1次大戦 自身の意義もまた，決定的に重要であった。この大戦は，アメザカに飛躍的 な生産力の拡大，産業構造の変革，資金の動員と豊露な蓄積をもたらし，地 方でアメザカ以外の列強をいちじるしく疲弊させ後退させた。 この点では，第2次大戦についてもさしあたり同じことがし、えるであろノO 第 1次大戦，第2次大戦(さらには朝鮮戦争にも一部あてはまる〉を並べて みると，アメリカ資本主義はその都度，軍事経済によって支えられるような あらたな産業構造に転換することによって，独占資本の所与の組織性と停滞 をうち絞り，しかもほとんど、無傷で、戦後に再転換をおこなってきた。アメリ カの場合，こうした大規模な戦争への介入の意義は，独占資本の国内外り 庸を暴力的盲自的に清算し，それによって内部に革命的な危機を醸成Lたと いうよりは，戦争が停滞せるアメワカ独占資本に外部から活カをあたえ，一 挙的な設備投資，技術進歩，雇用拡大をとおして景気を高揚させ，戦後にも 戦前に比してひとまわり大きな生産規模のもとでの競争条件をもたらしたと いう点に，より多くみいだすことができるのである。アメザカ戦時経済それ 自身の分析は，他の諸閣の場合とはことなる，特殊な意味をもっともL火、う るであろうO だが同時に，第1次大戦と第2次大戦とでは，アメリカの園内的 およぼした影響，世界経済のなかて、の位置なり機能の質的な変化，とい う面で多くの重要なちがし、があろうO その点の解明もふくめて， 階のなかで大戦を契機とするアメリカ資本主義の変質の諸段階をあきらか にし，現段階の総合的分析に接近すベくこころみるというのがひとつの分析 視角である。 第2に，両大戦間ないし1930年代のとらえかたとの関連である。いわゆる 国家独占資本主義論においては， 1929年恐J慌につづく 30年代の国家の経済介 入の諸相をもって，国家独点資本主義の始発期ととらえ，現在のアメザカ資 本主義の経済的特質も，この30年代に構造的に形成されだしたものとみる傾 向がつよいようであるO 第2次世界大戦におけるアメリカ経済の軍事化への転換森 53(53! 大恐斑と30年代は，アメリカ菌民にとって，社会的転換点としても，第2 次大戦以上の意味をもっともいわれるO 玉野井芳郎氏によると，アメリカ人 は，日本人が戦前派，戦後派というのとおなじように大恐慌で世代や生活史ー を区切る習慣をもっそうだしくD ・シャノン「大恐慌Jの邦訳序文)，小田実 氏;主へンリー・ミラーの年譜を調べても第2次大戦の記述が一行も存在せず， 戦前・中・後を区明るものがどこにもないことに衝撃をうけたと述べておら れる(中央公論， 1965年7月号〉。アメリカにとって第2次大戦は，朝鮮戦 とほとんど夜間がつかないくらいだ，という論者もいる。 それらは多分に正当なものであろうが，だからといって，アメリカ資本主 義史上，第2次大戦のもつ画期的な意義を否定することはできなし、。われわ れが大恐慌とニュー・デールを分析するのは，国家独占資本主義の一般理論 (涼理〕をそこに求め，帝国主義論のうえに構築しようとするからではな ~ 30年代に初発したものが第2次大戦によってもっと強力に一挙に発展し て大戦後の経済に定着したで、あろうし，別に大戦自身が生みだした諸要素 L 大戦後の経済構造に編入されただろうしさらに，大戦後の平時経済へ の再転換とその後の発展をとおしてあらたに生みだされた特質もあろう。戦 後経済はこう Lた諸要素の綜合物で、あって， 30年代なり同大戦闘はその始発 期としての重要性をもつのであり，重要であればなおさら，それを第2次大 戦をとおして現在にまでつなげる仕事が必要であるO 2次大戦そのものが，どれほどの規模をもってアメリカ資本主義に衝撃 さとあたえたかについても，本稿があきらかにするように，決して小さなもの でユない。大恐鈍がアメザカの経済・社会に壊滅的な打撃をあたえたのに十 分比肩しうる全体的・構造的な規模で，第2次大戦は，総じて成長・拡大の 向でのインパクトをあたえているO 第3に，第2次世界大戦の内部における，アメリカ資本主義の役割，性格 の問題がある。 ふつう第2次世界大戦は，たんなる帝国主義戦争ではなく，最終的