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国際ビジネス研究第10巻第１号 研究ノート 欧州標準化規則（1025/2012）及び Mandate（標準化要求）に係る動向について 鈴木 俊吾 （国立研究開発法人新エネルギー ・産業技術総合開発機構） 国松 麻季 （三菱 UFJ リサーチ＆コンサルティング㈱） 要　　旨 欧州における 「欧州単一市場 （European Single Market）」政策の一環 として、欧州議会及び欧州理事 会の決定事項 に基づ き、欧州指令 （Directives）が公布 されるとともにその具体化のために多数のマンデ ー ト （Mandate ：標準化要求）が欧州委員会 により発行 されてきた。 本稿 は、まず 2012 年に欧州議会及び欧州理事会が欧州標準化規則 （Regulation (EU) No 1025/2012）を 制定するに至った大 きな流れを示す。 次に、欧州標準化規則の制定 を受けてマンデー トにどの様な変化が生 じているのかについての分析 を行 った結果、年平均作成件数や平均ページ数に変化が生 じていること等 を確認 した。 最後 に、マンデー トの動 きに着 目することによって、欧州における課題認識や標準化ニーズ、規格開発 スケジュール等の情報 を共有することが可能 とな り、欧州における課題認識 を理解 した上で欧州各国等 と 協力 して国際標準 を開発 してい く等、これ らの情報がこれか らの国際標準化活動等 に有意義な影響 をもた らすであろうことを指摘する。 １　はじめに ２　欧州統合と欧州単一市場 欧 州 に お け る 「欧 州 単 一 市 場 （European ２．１　シューマン・プランから欧州単一市場へ Single Market）」政策の一環 として、欧州議会及 2017 年３月、欧州では EU の礎 を築いた 「ロー び欧州理事 会 の決 定事 項 に基 づ き、 欧州指令 マ条約」の調印 60 周年 を迎えた。 （Directives）が公布 される とともにその具体化 1950 年５月９ 日にフランスのロベール ・シュー のために多数のマンデー ト （Mandate ：標準化要 マン外務大臣が発表 した「シューマン・プラン」（通 求） （以降 「マンデー ト」）が欧州委員会 により発 称 「シューマ ン宣言」） を基礎 として、1951 年４ 行 されてきた。 月 18 日 に 「欧州石炭鉄鋼共 同体 （ECSC）設立 本稿 は、 まず、2012 年 に欧州 議会 及 び欧州 条約」 （通称 「パ リ条約」）が調印 され、1952 年 理事会 が欧州標準化規則 （Regulation (EU) No に欧州石炭鉄鋼 共 同体 （ECSC）が誕生。1957 1025/2012） を制定す るに至 った大 きな流 れ を示 年 ３月 25 日に 「欧州経済共 同体 （EEC）設立 す。その上で、欧州標準化規則の制定 を受けてマ 条約」及 び 「欧州原子力共 同体 （EAEC または ンデー トにどの様な変化が生 じているのかについ Euratom）設立条約」 （通称 「ローマ条約」）が調 て分析 と考察 を行 う。最後に、これ らの情報 に着 印 され、1958 年 に欧州経済共同体 （EEC）及 び 目することが これか らの国際標準化活動等 に有意 欧州原子力共 同体 （EAEC）が設立。1967 年 に 義な影響 をもた らすであろうことを指摘する。 これ ら３共同体の執行 ・決定機関等 を統合 して欧