ISSN2432-1362日本血管外科学会Newsletter.PDFVIP

ISSN 2432-1362 2019 年 6 月 28 日発行 /ja/ 日本血管外科学会日本血管外科学会 No.7 2019年6月号 NewsletterNewsletter 特別寄稿―名誉会員― Contents 医学，医療はいま 大きな曲がり角に立っている 医学，医療はいま大きな曲がり角に立っている 　高場利博 　古森公浩 昭和大学名誉教授　高場利博 　荻野　均 この言葉は私が医師となってからしばしば先輩から耳にした言葉でした． その内容は時代によって医療政策であったり，新薬の開発であったり，臓器移植や医療 　荻野　均 機器の開発による診断，治療の進歩などで，今でも医学医療についての記事が新聞に載ら ない日はありません．高齢化時代も関連して医療は最大関心事の一つであることは間違い の無いところで，現在では医師の働き方改革が大きな話題でしょうか． 血管外科医として手術室の外での奮闘記 1 年のインターンを終えて外科学教室に入局し，それから約 40 年を心血管外科の分野で ―男女の枠をこえて― 過ごした私にとって印象に残る曲がり角は何であったのだろうかと今，記憶を手繰ってみ 　渡部芳子 ました． 心臓外科の分野では手術対象が新生児から 90 歳台の高齢者まで拡大され，手術成績の向 上もみられたのは大きなカーブを描きながら進んだ道程の一つであったと思われますが， 血管外科分野で最初に私に大きなインパクトを与えたのは次の事件でした．入局 1 年目の昭 和 40 年 7 月，第 3 回日本人工臓器学会が大分県別府市で開催されていた時です．全国の第一 線の心臓血管外科医が参加されていたと思われますが，その最中に大物政治家である河野 一郎氏（現　河野外務大臣の祖父）が腹部大動脈瘤破裂で緊急入院されたというニュース が入りました．学会に参加されていた心血管外科の巨頭である東大木本教授と女子医大榊 原教授が急きょ自衛隊機で東京へ帰られました．しかし結局緊急手術は行われず河野氏は 亡くなられたのですが，この事件は私の血管外科への興味を引きたててくれました． 我々の年代の外科