3 章那珂川流域の水害と自然地理学的特性に関する調査研究.pdf

1 ２章 福岡都市圏流域における2009 年７月豪雨の特性と行政機関、住民の対応 2.1 はじめに 2009 年 7 月 24 日から26 日にかけて、総雨量が最大 613mm もの豪雨が福岡都市圏を中 心に九州北部を襲い、福岡県全体で、死者 10 名、床上浸水 1、371 棟、床下浸水 3、851 1） 棟、崖くずれ 1、115 件におよぶ甚大な被害が発生した 。特に福岡都市圏では樋井川、那 珂川、宇美川、多々良川で河川氾濫が発生するとともに、多々良川の上流域では土砂災害 も発生し住民２名がなくなった。福岡都市圏では2003 年 7 月豪雨により氾濫した御笠川、 宇美川は改修が完了したばかりであった。著者らは、災害直後より、福岡都市圏および飯 塚市の被災地を訪問し住民に聞き取り調査を行うとともに、市町村などの行政機関にはア ンケート調査も実施してきた。本研究は、その災害の特性を明らかにするとともに、災害 時における行政機関の対応および被災住民の避難行動・意識について調査したものである。 2.2 2009 年 7 月24～26 日の降雨特性と災害の概要 2.2.1 降雨の特性 120 600 図2.1 は、福岡都市圏の主要河川流 篠栗(気象) )100 500 h 累 / 加 域 （福岡都市圏流域と総称する）及び m m ( 80 400 雨 量 飯塚市における 3 日間の総雨量を観測 量 累加雨量 雨 ( m 間 m ) 点ごとに示したものである。福岡都市 60 300 時 圏流域のほぼ全域において、わずか３ 40 200 日間で500mm 前後の総雨量となった。 20 100 特に、那珂川、御笠川の上流域および