河床材料の粒度構成に着目した土砂移動機構に関する研究.pdfVIP

9.1 河床材料の粒度構成に着目した土砂移動機構に関する研究 9.1 河床材料の粒度構成に着目した土砂移動機構に関する研究 研究予算：運営費交付金（一般勘定） 研究期間：平 23～平 27 担当チーム：水工研究グループ（水理） 研究担当者：箱石憲昭、石神孝之、坂野章 【要旨】 河川横断構造物の建設や砂利採取などをきっかけとした河床低下によって、樹林化や露岩化等の河川環境の劣 化、床止め･橋脚等の河川構造物の安定性の低下、砂浜の減少などの問題が顕在化している。このための水系一貫 した土砂管理の必要性が十分に認識され、それを実現する具体的施策が求められている。本研究は 幅広い粒径集 団を持つ山地河道および石礫河川を対象として、個々の粒径集団が持つ役割を明確にするとともに、ダムからの 排砂もしくは置土について下流河道にとって必要とされる量と質を決定する方法を提案することを目的としたも のである。平成 23 年度は、工学上重要な“瀬と淵”の形成と関わりの深い砂礫州等の中規模河床形態の形成の 場における、深掘れの規模や流砂量等の空間分布に対する河床材料粒度分布の影響について、水理模型実験によ り検討した。これによって、中央粒径が同一であっても河床材料の粒度分布が異なれば、瀬・淵の規模や流砂量 も大きく異なることを確認した。また、今後の実河道での検証に必要なデータ収集の目的で、多摩川において河 道の横断測量、河床材料調査等を行った。 キーワード：河床材料、粒度分布、水理模型実験、現地河川調査 1. はじめに に、図 2.1 に示す中央粒径を同一した 3 種類の粒度分 河川横断構造物の建設や砂利採取などをきっかけ 布を有する河床材料を縦断勾配 1/100 で平坦に整形し、 とした河床低下によって、樹林化や露岩化等の河川環 各材料において 2 種類の一定流量を重ねて通水した 境の劣化、床止め･橋脚等の河川構造物の安定性の低下、 （表 2.1 参照）。通水中に、水位・流砂量・表面流速、 砂浜の減少などの問題が顕在化している。このための 通水後に、河床形状・粒度分布・流出土砂をそれぞれ 水系一貫した土砂管理の必要性が十分に認識され、そ 測定した。通水中には、任意地点で流砂が採取できる れを実現する具体的施策が求められている。本研究は ように、写真 2.1 に示すような流水抵抗の極力小さく 幅広い粒径集団を持つ山地河道および石礫河川を対象 した採取器を作り、この中央三角の尖った部分を河床 として、(1)河道特性と河床変動および河床形態に関す に押込んで採取器を水平にし、一定量の掃流砂を捕捉 る個々の粒径集団が持つ役割を明確にする。(2)ダムか するまでこの状態を保持した。粒度分布については、 らの排砂もしくは置土について、総合土砂管理の視点 (1)通水中の流砂 (2)通水後の河床表面の試料（幅 から下流河道にとって必要とされる量と質を決定する 10cm×長さ 15cm×厚さ 2cm） (3)通水後河床のΦ 方法を提案することを目的としたものである。平成 23 約 15cm×厚さ5cm の試料 の各々を同一箇所で採取 年度は、工学上重要な“瀬と淵”の形成と関わりの深 100% い砂礫州等の中規模河床形態の形成の場における、深 掘れの規模や流砂量等の空間分布に対する河床材料粒 80% 度分布の影響について、水理模型実験により検討した。 率 単一粒径 分 60%