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ひび割れ幅に基づく 変状コンクリート構造物の作用外力評価 ■概 要 既に変状が生じているコンクリート構造物のライフエクステンションを実現する為に、それらの変状 を生じさせた要因（作用外力）の定量的分析が求められ、それに基づいて対策を講じる必要がある。 従来、作用外力の厳密な算定には周辺環境の多種条件の調査・検討が必要とされたが、本評価方法は 調査・点検により得られた変状情報 （ひび割れ状況）を基に作用外力を算定する手法である。自社開発 による 『複数離散ひび割れ解析モデル』を用いて構造物のひび割れ状況を再現 し、変状情報から構造物 の変位量を算定する。これにより、精度の高い作用外力算定が可能となる。作用外力を定量的に評価し 変状の要因を明らかにすることで、構造物に対して適切かつ効率的な対策案を策定できる。 ■技術ポイント 【複数離散ひび割れ解析モデル】 従来型の離散ひび割れモデルは、 実規模トンネル覆工破壊実証試験 構造物に対する 1 本のひび割れにつ いての挙動再現に限定されるが、実 試験結果 解析結果 （破壊直前） （破壊直前） 構造物にはひび割れが複数発生して いる状態がほとんどである。 複数離散ひび割れモデルは、構造 物に同時発生する複数のひび割れ挙 動をそれぞれの干渉作用を考慮しな がら進展・開口を表現することを可 能にしたモデルであり、変状メカニ ズムを厳密に再現することができる （混合破壊モードも再現可能）。 ■適用事例 【複数離散ひび割れ解析モデルを用いたトンネルの性能評価】 既設トンネルの変状要因としては様々な事柄が挙げられるが、構造物調査で直接得られる情報は覆工コ ンクリート内部の劣化状況に限られ、それらの情報から構造物の変状と周辺地山との因果関係を定量化す ることは困難であった。そこで本事例では、複数離散ひび割れ解析モデルを用いて変状状態を再現し、構 造物調査情報 （ひび割れ位置・幅 ・深さ）から内空変位量および変状を生じさせた作用外力の関係を定量 的に評価し、構造物の健全度評価・対策工設計の合理化を図った。 〒300-1259 茨城県つくば市稲荷原2304 Tel.029-871-2000 Fax.029-871-2019 技術本部 中央研究所 E -mail tkb-info@cx.n-koei.co.jp 2502AJ URL. http://www.n-koei.co.jp ひび割れ幅に基づく変状コンクリート構造物の作用外力評価 【解析概要】 本解析では、覆工コンクリートの貫通ひび割れを再現するために、複 数離散ひび割れモデルの周囲に地山の支持機能を代替した薄肉の仮想シ ェルモデルを配置した。これにより、貫通ひび割れ後の大きな開口ひび ひび割れ幅 ：7mm ひび割れ幅 ：7mm 割れも再現可能となる。解析は２段階式で行う。構造物の変状を複数離 散ひび割れ解析モデルと仮想シェルモデルで再現し内空変位量を算定す る一方で、ひび割れ位置での変位量を指標とした緩み土圧の計算を行っ た。解析モデルおよび解析結果の概要を以下に示す。