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S1-06 雪崩に関するレビューと今後の研究について 独立行政法人土木研究所 ○野呂智之 国土技術政策総合研究所 小山内信智・冨田陽子 新潟大学大学院 川邊洋 財団法人日本気象協会 辻本浩史 株式会社パスコ 鈴木崇 １．はじめに 平成 21～22 年にかけて砂防学会研究開発部会に 設置された「気候変化が土砂災害に及ぼす影響に関 する研究委員会」において，雪崩分野の分科会も設 けられた。分科会では，既往の文献等をもとに気候 変化によって引き起こされる可能性がある現象を整 理し，全国各地の積雪深等のデータや雪崩事例を分 析し，今後必要な調査研究について考察した。 ２．対象現象 表層雪崩，全層雪崩に加えて富士山周辺でこれま で発生が確認されているスラッシュ雪崩なども対象 とした。 ３．土砂災害等に関わる課題 3.1 高標高，高緯度で積雪深が増加 全国の AMEDAS 観測点及びスキー場の積雪深デ ータについて過去 100 年程度の経年変化では，長期 トレンドでは積雪深が減少する地域が卓越するが， 最近 20 年程度はその傾向が鈍化しているように見 図－2 気温上昇に伴う雪崩発生気候分布域の変化予測 える。一方で，高標高域や高緯度地域では積雪深の 3.2 気温の上昇 増加を予測する研究事例があり，地域によっては雪 収集した実績データによれば，冬季平均気温偏差 崩リスクが減少または増加する危険性がある。 が+1.5℃では積雪深は平年比 0.8～0.6 以下になる地 域が多くなり，長期的には現在に比べると積雪深が 2.5 相当量減少することが予想される。一方で，数日単 位の短期的な気温上昇に伴って融雪が促進され，湿 2 雪雪崩や融雪洪水の危険性が増加することが予想さ 比 れる。雪温が高い積雪は低温の積雪より強度が小さ 年 1.5 平 く雪崩を起こしやすいという既存文献もあるが，気 深 雪 積 温上昇に伴う湿雪雪崩の発生メカニズムには不明な 大 最 1 年