波形合成法の基礎的考え方.pdfVIP

資料第１－１号 2009 年 4 月 23 日 東京電力株式会社 波形合成法の基礎的考え方 1. はじめに 本資料では，まず「スケーリング則」と呼ばれている地震規模と断層サイズ，震源スペ クトルの関係について述べる。次に，いわゆる入倉法を対象として波形合成の方法の概要 を述べる。さらに，断層モデルによる地震動評価で設定している断層パラメータ間の関係 について述べ，最後に応力降下量を変動させた場合における他の断層パラメータとの関連 と波形合成結果への影響について述べる。 2. スケーリング則 本章では，波形合成法における重ね合わせ数の設定の根拠となっている「スケーリング 則（相似則）」の概要を述べる。断層モデルによる地震動評価では，地震規模を表すパラメ ータとして地震モーメント M0 が用いられる。M0 は，断層面の面積 S （= 断層長さ L ×断層 幅 W），断層面全体の平均すべり量 D 及び剛性率μにより次式で表わされる。 M0 μDS (2-1) Kanamori and Anderson (1975) は，表面波マグニチュードMs ≧6 の地震を対象にしてM0 と S の関係を調べ，プレート境界地震とプレート内地震の各々について，平均的には次式の関 係が成り立つことを明らかにした。 M0 ∝ S3 / 2 (2-2) さらに，L とW が比例する（L ∝ W ）と仮定すると，次式の関係が成り立つ。 3 (2-3) M ∝ L 0 また，(2-1)式と(2-3)式より次式の関係も成立する。 D ∝ L (2-4) 以上のように，L, W, D, M0 の各断層パラメータの値が平均的には一定の比例関係になる ことをスケーリング則という。 一方，Aki (1967) は震源スペクトル S(f)を表す関数として，次式で表される「ω-2 モデル」 を提案している。 - 1 - M M S(f ) 0 0 (2-5) + ω ω 2 + 2 1 ( ) 1 (f f ) c c ここで，f はコーナー振動数， ω はコーナー角振動数(=2πf ) を表す。上式は，各辺に角振 c c c 2 2 動数ω を乗じることにより，加速度震源スペクトルω S(f) として表すこともできる。 ω2 π 2