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研究調査報告 鉄定量分析の信頼性 長　船　忠　夫＊　吉　田 慎＊ （昭和47年9月30日受理） Tadao　OsAFuNE　and　Makoto　YosHll）A （Received　Septe皿ber　30，1972） point　of　view　of　sensibility，　accuracy，　precision　and　procedure． は，よく考慮しなければならない。例えば，オキシンを用 1　緒 言 いた吸光光度法では硫酸酸性にするし，Zn一アマルガム還 　金属の性質は，その組成によって大きく影響を受ける。 元法においては，塩素イオンが含まれることは滴定量が増 したがって，金属の各種成分の分析は重要である。ここで 大する。しかし，大体においては次のことが言える。 は，鉄についての各種分析法の再検討を行なった。著者ら 　　重量法　　　　　　硝酸，塩酸 は，Fe203のAlによる還元，いわゆるテルミット法によっ　　容量法 て得られた還元メタルの試料を分析するにあたり，それを 　　　酸化還元滴定　　硫酸，塩酸 迅速に分析する必要に迫られた。そこで，鉄のさまざまな 　　　キレート滴定　　硝酸 分析法を行ない，その精度，正確度，感度，簡便さを検討 　　ポーラログラフ法　硝酸，硫酸，塩酸 した。重量分析法，容量分析法は基本的な分析法であり， 　　比色法　　　　　　硝酸，硫酸，塩酸 今日でも広く採用されているし，また一方では，ポーラロ 　試料の溶解において，試料が溶解しにくい場合が多多あ グラフ法，比色法（分光光度法）などの機器分析法は，最 る。この場合，混酸を用い蒸発乾固が普通用いられるが， 近進歩のはなはだしい分析法であり，JIS1）にもかなり載 これは長時間かかる。このため，分析法を工夫する必要が せられている。著者らは，1）よく用いられる機器分析法 ある。また，できるだけ試料を小さくし，表面積を大きく と，容量および重量分析法の比較一特に精度について， して溶解速度を増すことは，時間を短縮するよい方法であ 2）分析にかかるまでの操作の比較と，簡便さを比較検討 ろう。さらに試料を熱して溶解速度を大きくすることも考 した。 えられる。普通の試料では，王永または塩酸溶解するのが よいと思われる。 2　各種分析法の理論的背景 2．2重量分析法 　2．1試料の分解について 重量分析においては次の二点に基礎をおいている2）。 　鉄鋼，その他の金属合金の溶解には，一般に塩酸硫酸， 1）試料物質を完全に溶液から取り去ること。すなわち， 硝酸，あるいはこれらの混酸を用いる，分析方法によって 　沈澱が完全であること。 は，妨害となる酸もあるので，これらの酸の使用について 2）沈澱を化学的組成のはっきりした純物質として，秤量 ＊金属工学科 　すること。 一se1一． 津山高専紀要第3巻第3号（1973） 　すなわち，試料物質を，溶液から溶解度の小さい沈澱の