胃癌における浸潤単核細胞の種類に関する研究-免疫組織学的.pdfVIP

胃癌における浸潤単核細胞の種類に関す る研究 -免 疫組織学的検討- 岡山大学 医学部第一外科学教室(主 任:折 田薫三教授) 徳 田 直 彦 (昭和61年7月31日受稿) Keywords:胃癌,浸 潤 単核細胞 免疫組織学的検討 モ ノクローナ ル抗体 術前免疫賦活剤腫瘍 内局注 組織型,リ ンパ球浸潤 の程度 による差異,抗 原 緒 言 提示細胞や網 内系細胞 の動 向 を検索 し,あ わせ 癌 の免疫学的反応 を考察す る際,癌 巣 の単核 て,内 視鏡的免疫賦活剤腫瘍 内投与 に よる抗腫 細胞浸潤 は,極 めて重要 な働 きをもってい るこ 瘍能の増強の可能性 について検討 を行 なった. とが知 られてお り,こ れ らの細胞浸潤 が多い も のほ ど予後良好 であることが報告 されている1～5) 対 象 と方 法 す なわち,癌 の免疫療法 は ここに原点 を発 し, これ らの単核細胞浸潤 を誘導賦活す ることが, 1.対 象(表1) いわゆ る癌 の免疫療法 とな る.こ れ らの,単核細 対象 は 胃癌 患者42例(男 性30例,女 性12例) 胞 は,こ れ までinvitroの上で,種 々の分化 し で,年 令 は33歳 ～83歳,平 均64.9±11.2歳, た機能 をもつsubpopulationが存在す ることが stageI14例,stageII10例,stageIII7例, stage 解 明 され,免 疫学的抗腫瘍能 をもつ単核細胞 の IV11例で あった.ま た,こ れ らの うち16例 は, 存在が判 明 している6～10)が,生体 内における検 表1.　検 索 対 象 索 は極 めて困難 であった. 一方,最 近,種 々の単核細胞膜表面の特異抗 原 に対す るmonoclonalantibodyが開発 され, 異 な る機能 を有す る単核細胞 を鑑別す ることが 可能 となった. そこで,こ の よ うなmonoclonalantibodyを 利 用すれば,胃 癌 巣 の浸 潤 単核 細胞 の機能 的 subpopulationを免疫組織学的 に同定すること が出来,生 体 内にお ける担癌 患者 の癌病巣 の局 所 的免疫能 をとらえることが出来 るもの と考 え られ る11,12). そ こで著者 は,胃 癌 を対象 として,胃 癌取 り 〔〕:OK-432術前腫瘍 内局注例 扱 い規約13)に基づ きstage分類 による変化や, 793 794 徳 田 直 彦 術前1～2週 間前 に経 内視鏡 的に生物学的免疫 (PAP)法17,18)を行 なった. 調節剤(BRM)の溶連菌製剤, OK-432(中外製 まず手術時,採 取 した 胃癌検体 を癌巣および周 薬製)の5～10KEを 腫瘍 内 に局注 した.対 照 囲組織 を含めて1.5×1.0cmの大 きさに胃壁 全層 と