海保 博之 - 認知心理学 (朝倉心理学講座 2 202015).pdf

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●まえがき  認知心理学が誕生して以来ここ半世紀,認 知研究者としてその内部にいられ たことは,今 にして振り返れば実に幸せであった.学 会発表を聞いていても論 文を読んでいるときでも,そ のひとつひとつが時代の最先端をいっているかの ごとき雰囲気,さ らには知的興奮を感ずることがたびたびであった.  最右翼に人工知能研究,最 左翼に身体性心理学,さ らに文化心理学をおい て,人 の心にまつわるさまざまな現象が,タ ブーなしに自在に研究と議論の俎 上にあげられてきた.  行動主義に対して認知主義がドグマとして掲げられ,百 花繚乱のごとき認知 研究が行われたこの半世紀は,壮 観であった.  そして半世紀が経過した今,認 知研究は成熟科学の段階に入った.  認知科学,認 知心理学という名称が,た とえば,学 会発表のカテゴリーとし て採用されたり,あ るいは,大 学の学科名やカリキュラムに使われるようにな った.研 究者の数も増え,日 本認知心理学会もできた.認 知心理学と指定して の求人も数は多くはないが散見されるようになった.さ らには,本 書でもその 一部を紹介することになる認知 「工学」のような分野もできはじめて,そ の社 会的な有効性も認識されるようになってきた.  しかしながら一方では,成 熟科学の常として,認 知研究も,今,や や停

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