Cf．本多康作「判決文における「条理」の意味 - 法認識 - 新潟大学 法学部.docVIP

特殊講義（政治制度論）2014年度第１期、兵藤）　 オリエンティション ○　概要 　いわゆる先進国の現行制度を主な素材に、政治制度の概要について講義する。先進国の定義は様々で、「先進国クラブ」でもあるＯＥＣＤ（経済協力開発機構）には本当に先進国？という国も加盟している。また、大した大義もなく基本的人権をしばしば蹂躙し、富裕層の上位１％が全体の富の40％を所有し、一方で4,000万人以上の最貧困層を放置し、少々の災害で暴動が起こる米が果たして先進国と云えるのかという素朴な疑問も尤もだが、問わない。また、戦後長らくマルクス主義が席巻していた日本の学界状況を反映していた話ではあるが、従来の政治制度論の講義では定番だった社会主義国は必要性も重要性もないので扱わない。従って、講義時間の都合もあって、扱うのは日英仏独米の５ヵ国である（その他の候補としては伊が考えられる。特に日本の比較対象としては伊の方が米よりもふさわしいかも知れないが、世界の参照モデルとしては米の重要性が勝る）が、この５ヵ国は他の国々から参照?模倣される事例として重要である。なお、日本の政治制度の詳細については、憲法基礎、統治機構論、行政組織法、裁判法基礎、政治学基礎、行政学総論などの講義を参照のこと。 政治制度論の教授方法は色々ある。本講義は、政治制度に関する基礎的事項の習得を目標とするため、制度が行為者の合理的な行動選択にどのような影響を与えてきたのか（この合理的選択制度論は、集団が個人から構成され、個人は目的合理的に行動すると考えるから、発想が素朴すぎるように思える）、制度が歴史的に見てどのように政治システム全体に影響を与えてきたのか（歴史的制度論＝社会学的制度論and / or 構造的制度論。個人の目的合理的行動を前提とせず、and / or 集団が個人から構成されると考えない点で合理的選択制度論よりも優れている）などを直接には扱わない。従って、古典的な構成をとり、最初に、立法府（部）などの制度の概要を説明し、次に、各国の政治制度の特色を挙げて、最後にデモクラシの制度化という観点からまとめをおこなう。概要（総論）と各国制度（各論）という説明が経糸と緯糸との関係にあることに注意すること。なお、2012年度から、講義回数が１４回から１５回に変更されたので、以前、授業評価アンケートで学生から要望のあった天皇制度と皇位継承を扱うこととし、Ⅲの日本を２回に分けることとした。 政治制度の基本問題は、どのような政治制度が歴史上存在し、あるいは理念として考えられるかというよりも、権力の濫用を防止して被治者（国民）の自由（権利）を保障し、同時に統治の安定を確保するには、どのような制度が有効なのかである。政治制度の主要な課題?争点は、権力の正当化、すなわち、統治機構に権力行使の正当理由を与えるとともに、その権力を正当に行使する人を選ぶ仕組みと、権力（権能?権限）の分配、すなわち、どの権力をどの機関に割り当てるかである。 これまでの先進国の「試行錯誤」を学ぶことで、現行制度を自明視?当然視せず、現行制度が唯一の、あるいは最善の選択肢ではなく、人々の考え方や社会のあり方が変われば、変わりうること、あるいは変えうることを、さらには改善を目指して変えるべきことを理解し?現行制度の存在理由や有効性を自省することが肝要だろう。各自が幕末、明治時代初期、あるいは第二次大戦敗戦直後の志士や政治家になって政治制度を構想し、実際に作る立場におかれた気構えでいるといい。その際には、（しばしば見かけ倒しの）理念?理想にかぶれず、現実に溺れずに、そして特に「気分」ではなく、「論理」で制度の適否を説明できるように心がけること。講義時間の都合上、第２部では本来扱うべき財政制度などを省略している（財政学などを参照のこと）。また、司法制度や軍隊制度についても基本事項の解説にとどめている。了解されたい。第３部では日英仏独米５ヵ国の政治制度の概要を説明するが、各国の歴史的経緯を多少補う。その際、外国の制度の創設がおおよそ日本ではどの時代に当たるのかを意識すること。また、日本の制度は戦前戦後を通じ、欧米の制度を輸入し、加工して作った側面が強いが、彼我の異同に着目すること。 　　このプリントの完成度はまだ高くないので、講義中も適宜補足訂正する。参考文献は、該当箇所に適宜記しておいたが、かなり数を制限している。興味がある分野があれば照会してほしい。センスに自信のある人はプリントを読む必要もないが、講義ですべてを扱いきれない場合もおそらく多々あり、また事前にプリントを読んでおくと、少なくともわからない点がはっきりするだろうから、よりダンロードしておくこと。なお、このプリントを紙媒体で配布しないのは予習したいという希望や好みのレィ