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財務報告論 2009 （太田浩司） Lecture Note 03 1 第 3 章 棚卸資産会計 1. 棚卸資産の意義 棚卸資産とは、通常の営業過程において販売または費消される資産であって、その販売ま たは費消部分を物量的に把握できるものをいう。 2. 棚卸資産の範囲 • 商品、製品 通常の営業活動において販売するために保有す る財貨または用益。 • 仕掛品、半製品 販売を目的として製造中の財貨または用益。 棚卸資産 • 原材料、貯蔵品 販売目的の財貨または用益を生産するために短 期間に消費されるべき財貨。 • 事務用消耗品 販売活動および一般管理活動において短期間に 消費されるべき財貨。 3. 棚卸資産の取得原価 • 購入の場合 取得原価 ＝ 購入代価 ＋ 付随費用 • 製造の場合 取得原価 ＝ 適正な原価基準による価額 • 贈与・交換等の場合 取得原価 ＝ 適正な時価や、公正な評価額 4. 棚卸資産の費用配分 棚卸資産の取得原価は、費用配分の原則に基づき、その期に費消された分と未費消分とに 配分される。そして、費消分は売上原価として費用となり、未費消分は棚卸資産として次 期に繰越される。 （費 消） 売上原価 当期費用 （費 消） 製品原価 材料 （未費消） 期末製品棚卸高 棚卸資産 （未費消） 期末材料棚卸高 棚卸資産 また棚卸資産の取得原価は、数量と単価の積であるから、費用配分の手続きは、数量計 算 と金額計算からなる。 財務報告論 2009 （太田浩司） Lecture Note 03 2 4.1 棚卸資産の数量計算 棚卸資産の数量計算の代表的なものに、継続記録法 （帳簿棚卸法）と棚卸計算法 （実地棚 卸法）がある。 • 継続記録法は、棚卸資産の入出庫の都度商品有高帳に継続的な記録を行い、常にそ の消費数量と在庫量を把握できるようにしておく方法である。 期首棚卸数量 ＋ 受入数量 － 消費数量 ＝ 期末帳簿棚卸数量 • 棚卸計算法は、期末に実地棚卸を行って在庫量を求め、期首棚卸数量に当期受入数 量を加算した合計数量からこれを控除することによって消費数量を計算する方法 である。 期首棚卸数量 ＋ 受入数量 － 期末実地棚卸数量 ＝ 消費数量 4.2 棚卸資産の金額計算 棚卸資産の金額計算は、棚卸資産の単価の計算である。 • 個別法 ● 売価還元法 • 先入先出法 ● 最終仕入原価法 • 後入先出法 • 移動平均法 • 総平均法 5. 棚卸資産の評価方法 5.1 棚卸資産の評価 棚卸資産の評価は、原則として取得原価基準が採られ、例外的に低価基準による評価が容 認 される。 取得原価基準 「原則」 棚卸資産 強制評価減（強制低価法） の評価