協働事業における協働協働形成フレームの考察.PDFVIP

協働事業における 協働・協働形成フレームの考察 1 2 3 坂本真理子 ・澤田俊明 ・山中英生 1 771-4501 30 正会員 有限会社環境とまちづくり主任研究員（〒 徳島県勝浦郡上勝町福原川北 番地） E-mail:mariko-s@beetle.ocn.ne.jp 2正会員 博（工）有限会社環境とまちづくり・徳島大学客員教授 771-4501 30 （〒 徳島県勝浦郡上勝町福原川北 番地） E-mail: tksswduwhu@quolia.ne.jp 3正会員 工博 徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス部教授（〒770-8506徳島市南常三島町2-1） E-mail: yamanaka@ce.tokushima-u.ac.jp 協働事業は多岐分野にわたって求められ，推進されている．しかし，協働は要素を多岐に含んでおり，全 体像を捉えにくいがゆえに，同じ視点からの評価や，価値づけが困難となっている．本研究は，協働・協働 形成の全体像の把握を行い，協働を成立あるいは促進する要因，および協働形成の主な事象を考察すること を目的とする．協働・協働形成の全体のフレームでは，協働の状態へ導く要因としての「協働成立要因」 「協働促進要因」について，協働形成の主な事象としての「協働形成対象」「協働形成プロセス」「協働イ ンパクト」「協働コーディネート」についてを考察した．さらに，本研究の知見を活用して２つの事例の検 証を行い，特に「協働プロセス」に着目し，同じ視点での比較を行った．本研究の知見の活用によって，協 働の効果的なマネジメントが可能になることが期待できる． Key Words : cooperation,cooperative formation,cooperative project,frame 4 1. はじめに として，経済学分野における小島等の戦略的協働に関 する協働形成の理論モデルの研究が注目される．また， 協働事業が，まちづくり，地域再生，環境保全，地球 法学分野では紙野5 による協働の観念と定義の公法学的 温暖化対策，福祉・医療，防災，教育など多岐の分野で な研究がある．しかしながら，これらの先行研究は，動 推進されている．計画政策形成の変遷について，イネス 的な協働事業や協働の場において，実践的は観点から， は多様性，相互依存性の観点から「政治誘導型」「技術 協働，協働形成を促進する課題，その要因，事象等につ 官僚型」「社会運動型」を経て「協働型」に進む４つの いて十分には言及されていない．例えば，動的な協働事 1 タイプを示しており ，今後一層の協働事業の進展が予 業における有償無償の人材の混在，事業プロセスの主体 期されている． 形成への圧力等の多くの課題が顕在化している． 協働に伴う主体形成の知見として，桑子2 は，環境再 本研究では，協働事業の実践的な観点から，協働事業 生の実践においても，単に技術的な課題解決だけでなく， における協働・協働形成の全体像の