内心構造と外心構造.PDFVIP

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 239 －ヱ・叫 内心構造と外心構造 細 谷 堆 平 というアメリカ構造言語学の用語ほ，今では（戦前出版の研究社英語学辞典の 項目の中には見つけることが出来ない）甚だ有名であって，伝統文法の修飾語 （1） や句の定義にこれを利用しようという試みも再三なされたはどである。ところ が，その紹介（古代インド文法より）着たるBloomfieldが簡単明白な場合を例 にとるのみで，詳細（たとえば，「動詞＋補語」は内心か外心か）紅説き及ばな かったため，そ■の後の諸学者の意見ほ二分され対立するに至っ声。本稿の目的 は（Ⅰ）Bloomfieldの説，（ⅠⅠ）その後の対立する諸説を－・ぺつの後，（ⅠⅠⅠ）何故 かくの如き対立が生ずるかその原因を追究するにある。付記は学校文法への一 つの提案のようなものである。 I Bloomfieldの内心構造の定義は，その重要性のゆえに，，そのまゝ引用する。 す。endocentricのendo－ は「内側．」という明瞭な意味をもつが，独立性に 欠けているので，鉦ee for・mとほいえない。 （1）節35回日本英文学会シンポクジアム伝統文法部門（1963）； 培風館「英文法辞典」1965，phIaSeの項； 荒木－・雄著「英文法w理論と実践」1966，『学校文法論』。 OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ・－ 2 一叫 欝39巻 第3号 240 （2） いる。bo．ys and gilゐも内心構造（但し，双頭の）である。これに対して－外 心構造の例ほ （1）Actor－aCtion construction：John／ran ning away （3）Clause subor・dination：if／John ran away （4）Phrase subordination：aS／Ⅰ；than／John 以上が Bloomfield のあげた内心外心の例のすべてである。しかし，後で 複合語の構造を論ずる際，本来 董Ⅰee foImS 結合の理論たる内心外心説のこ し31 いるので誤解の種に／ならないともかぎらないが，‘‘the head member”といっ 「動詞十日的語」のかたちにおいてみているのである。その「動詞・＋目的語」 OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 241 内心構造と外心構造 －β －－ のheadほturn，そ・のturnは動詞原形（定形動詞ときめてしまうわけに．もい かない）であるというのであるからBloomfieldが「動詞一＋目的語．」を，「動 詞十副詞」（gad about）とともに．，動詞をheadとする内心構造だと了解してい たというこ．とに展問の余地ほないであろう。 ⅠⅠ まず第一・呼．NidaとWhitehallとを挙げるぺきであるが，この二人は比較 的Bloomfieldに忠実であl？て，本稿にとっての重要性ほ少ない。異端的であ って，その故雇要なのはHockett と荒木一雄氏である。しかも，その荒木氏 （4） の『学校文法論』はNida と Whitehallの説を，本稿の必要とする程度に．， 紹介してくれてもいるので，一石二鳥の便を好むわけではないが，『学校文法 論』からの引用をもって始めることにしたい。 …従来のいわゆる修飾語というのはノ，実ほ．，このBloomfieldのいう内心 構造の連体辞〔註，tailのこと二〕のことをいっていたのである。それゆ