（市町村基本構想の作成例）.docVIP

農業経営基盤の強化の促進に関する 基本的な構想 平成２２年　月 湯前町 第１ 農業経営基盤の強化の促進に関する目標 １　湯前町は、熊本県南部に広がる人吉盆地の東端に位置し、その立地条件を生かして稲麦を主体とする農業生産を展開してきたが、近年、経営の発展を図るため、一部の農家で施設園芸の導入が盛んとなっている。 　　今後は、特に施設園芸において、高収益性の作目、作型を担い手を中心に導入して、地域として産地化を図ることとする。また、耕種を中心に経営規模の拡大を志向する農家と施設園芸による集約的経営を展開する農家との間で、労働力提供、農地の貸借等においてその役割分担を図りつつ、地域複合としての農業発展を目指す。 ２　湯前町の農業構造については、昭和４０年代から人吉市における工業団地の立地を契機として兼業化が進み、恒常的勤務による安定兼業農家が増加したが、最近、一層の兼業の深化によって、土地利用型農業を中心として農業の担い手不足が深刻化している。また、施設型農業については、規模拡大が進み、一定の所得を確保しているものの、機械化?省力化技術の導入の遅れなどにより、労働時間が過多であるだけでなく、作業姿勢などの作業環境の面、つまり、質的な面でも労働過重となっていることから、イチゴ栽培については、高設栽培施設の導入により、作業姿勢の改善、作業時間の短縮、さらに所得向上を図る。 また、こうした中で、農地の資産的保有傾向が強く、安定兼業農家から規模拡大志向農家への農地の流動化はこれまで顕著な進展をみないまま推移してきたが、最近になって兼業農家の高齢化が進み、機械更新時や世代交代等を機に急速に農地の流動化が進む可能性が高まっている。 　　さらに、本町は中山間地域であり、農業就業人口の高齢化、及び減少に伴って、農業後継者に継承されない又は担い手に集積されない農地で一部遊休化したものが近年増加傾向にあることから、これを放置すれば担い手に対する利用集積が遅れるばかりでなく、周辺農地の耕作にも大きな支障を及ぼすおそれがある。 ３　湯前町は、このような地域の農業構造の現状及びその見通しの下に、農業が職業として選択し得る魅力とやりがいのあるものとなるよう、将来（概ね１０年後）の農業経営の発展の目標を明らかにし、効率的かつ安定的な農業経営を育成することとする。 　具体的な経営の指標は、湯前町及びその周辺市町村において現に成立している優良な経営の事例を踏まえつつ、農業経営において１経営当りおおむね５５０万円以上（主たる従事者一人当り２７５万円程度）、法人経営の場合は、おおむね１，５００万円以上、協業経営のうち土地利用型経営の場合はおおむね２，０００万円程度（主たる従事者一人当り２７５万円程度）、労働時間が従事者一人当り２，０００時間程度の水準を実現できるものとし、また、これらの経営が本町農業生産の相当部分を担う農業構造を確立していくことを目指す。 ４　湯前町は、将来の湯前町農業を担う若い農業経営者の意向その他の農業経営に関する基本的条件を考慮して、農業者又は農業に関係する団体が地域の農業の振興を図るためにする自主的な努力を助長することを旨として、意欲と能力のある者が農業経営の発展を目指すに当たって、これを支援する農業経営基盤強化促進事業、その他の措置を総合的に実施する。 　まず、湯前町は、球磨地域農業協同組合、農業委員会、熊本県球磨地域振興局農業普及指導課等が十分なる相互の連携の下で濃密な指導を行うため湯前町担い手育成総合支援協議会において集落段階における農業の将来展望とそれを担う経営体を明確にするため徹底した話し合いを促進する。更に、望ましい経営を目指す農業者や、その集団及びこれらの周辺農家に対して上記の湯前町担い手育成総合支援協議会が主体となって経営分析?診断、営農改善方策の提示等を行い、地域の農業者が主体性をもって自らの地域の農業の将来方向について選択判断を行うこと等により、各々の農業経営改善計画の自主的な作成や相互の連携が図られるよう誘導する。 　次に、農業経営の改善による望ましい経営の育成を図るため、施設型農業については、低コスト?高品質生産と調和を図りながら、機械化?省力化技術の導入、作業環境の改善、ピーク時期の作業の外部化などにより、労働時間の短縮、労働強度の軽減など、就業条件の改善を進めるとともに、経営管理の合理化や雇用労働をめぐる問題などへの適切な対処を行う。また、併せて集約的な経営展開を助長するため、熊本県球磨地域振興局農業普及指導課や球磨地域農業協同組合と連携を図りながら、既存施設園芸の作型、品種の改善による高収益化や