関菜花.docVIP

成田国際空港株式会社と日本空港ビルディング株式会社 ～成田空港か羽田空港か～ 国際地域学部　国際地域学科　3年 1810120096　関菜花 0.はじめに 私たちは旅行、留学、出張など、さまざまな目的で空港を利用している。現在の空港はフライトとして利用されるだけでなく、ショッピングやレストラン、夜景などのエンターテイメントまでも提供している。空港会社というのは空港を運営する会社であるが、その業務内容は私たちが日頃目に見えるところから見えないところまで、さまざまなものがある。空港（レストランやショッピングエリアを含む）の整備や運営はもちろん、機内食の製造?販売や旅行傷害保険代理業務なども行っている。さまざまな空港会社が各地に拠点を構え、活動をしているが、その中でも主に成田国際空港を運営している成田国際空港株式会社と東京国際空港を主に運営している日本空港ビルディング株式会社に注目し、分析を行うことにする。 業界の現状 　現在の空港では、フライトの利用だけでなく、ショッピングやレストラン、夜景スポットなど、さまざまな目的で利用されている。入国ゲートを抜けてからも多くの免税店が軒を連ねており、東京国際空港ではプラネタリウムまでもカフェに併設され、空港での待ち時間もさまざまな方法で楽しめるようになってきている。一昨年には、新関西国際空港株式会社も建設され、日本各地から世界へ羽ばたくことが可能となった。現在の空港業界の売上高順位は以下のとおりである。 　　　図表1　空港業界の売上高ランキング 　今回分析を行うのは、業界1位の成田国際空港株式会社と2位の日本空港ビルディング株式会社である。 0-2.企業の概要 成田国際空港株式会社 本社：〒282-8601　千葉県成田市古入字古込1-1（成田国際空港内） 設立：2004年4月1日 代表者：夏目誠 　成田国際空港株式会社は、2004年4月1日に施行された成田国際空港株式会社法により、成田国際空港の設置および管理を目的として設立された株式会社。通称は成田国際空港会社。新東京国際空港公団の義務を承継した特殊会社で、全株を政府が所有している。また、営業年度毎の事業計画や新株発行、社債の募集、資金の借入については国土交通大臣の許可を必要としている。同社では、国際交流を支える拠点空港として、質の高い安全とサービスを提供している。すべての人から「世界トップレベル」と評価してもらえる空港を目指している。 日本空港ビルディング株式会社 本社：東京都大田区羽田空港3-3-2第一旅客ターミナルビル 設立：1953年7月20日 代表者：鷹城勲 　日本空港ビルディング株式会社は、東京国際空港における旅客ターミナルビルの設立および運営を行っている。成田国際空港?中部空港?関西国際空港では、免税店の運営等を行っている。同社は常に、安定的かつ効率的な旅客ターミナルの運営を心掛けており、お客様の満足のいく空港の運営を目標としている。 0-3.注意事項 　以下は分析するにあたっての注意事項である。 1.使用するデータは2009年度から2013年度までの5年分の成田国際空港株式会社と日本空港ビルディング株式会社の有価証券報告書を参考にしており、有価証券報告書の会期決算は両社とも4月1日から3月31日である。 2.分析では連結経営という視点を重視し、各指標の算出にあたって特に断りのない限り連結データを用いる。 3.簡略化のため、成田国際空港株式会社はNAA、日本空港ビルディング株式会社はJATと記載する。 4.本レポートで使用する年号は全て各年度決算を意味するものとする。 5.NAAは上場していないため、株価情報はない。 1.収益性分析 　収益性分析では5つの指標を用いて、両者の収益性を分析する。5つの指標とは、総資本事業利益率（ROI）、自己資本利益率、この自己資本利益率を分解した売上当期純利益率、総資本回転率、財務ガバレッジである。 1-1.総資本事業利益率（ROI） 　総資本事業利益率（ROI）（=事業利益／使用総資本×100）は企業の総合的な収益性を測定する代表的な指標の1つである。 　　　図表2　総資本事業利益率（ROI）の推移 　図表2をみると、両者とも2011年に急激に落ち込んでいる。これは、東日本大震災が原因であると考えられる。その後は両社とも上昇傾向にある。次に、ROIを構成している総資本と事業利益（営業利益＋受取利息および受取配当金＋持分法による投資損益）の推移を詳しく見ていき、ROIの変動の理由を探っていく。 　 図表3　総資本の推移 　図表4　事業利益の推移 図表3、4によると、NAAがJATを大きく上回っている。また、図表4の事業利益の推移を考察してみる