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気象データと水稲?大豆の生育の関係 （気温等が推定できれば稲や豆の生育がどうなるか予想できる？） 岩手県農業研究センター技術部　高橋　智宏?伊藤　信二 １　最初に???稲の生育はどのように進むか 　　水稲の生育調査結果は、これまで旬別に調査し、農家や関係機関には時期毎の生育状況を平年比で示してきた。この方法でデータを提示した場合、農家は提示した時点での生育状況を平年比あるいは前年比で確認できるが、今後の生育の推定が難しい欠点がある。 　　今後より高度な農作物を管理するためには、時期別の気象データ比較を行ったうえで、気象データ、特に気温と生育状況の比較を行うことが有益となると考えられる。 　　 　図１　水稲の草丈及び葉齢の時期別推移　　　　図２　水稲の茎数?葉色の時期別推移 図３　水稲の地上部乾物重?窒素濃度?窒素吸収量?土壌アンモニア態窒素量の時期別推移 ２　稲の生育を移植後の気温との関係でみると 　　水稲は草丈、地上部乾物重、窒素吸収量は移植後期間が経過すると概ね成熟期まで増加するほか、葉齢は出穂前まで増加、茎数は幼穂形成期前まで増加した後減少する。また、稲体窒素濃度と土壌アンモニア態窒素量は徐々に減少していく傾向がある（図１~図３）。 　　これら生育に関係する要素を水稲の生育時期等を判定するうえで一般に用いられている移植後の積算日平均気温と草丈等の生育調査結果は７月下旬まで、地上部乾物重等の栄養調査結果は穂揃期または成熟期まで比較した。岩手農研で毎年同一条件で栽培を行っている水稲作況試験の調査結果について、草丈と葉齢は移植後の積算日平均気温に対して直線的に増加する（図４、５）が、茎数は移植後の積算日平均気温が約1,000℃過ぎの一定の時期まで増加した後減少する2次曲線で示され（図６）、地上部乾物重と窒素吸収量は移植後の積算日平均気温に対して３次曲線で示されるＳ字カーブ状に増加し（図7、９）稲体窒素濃度と土壌アンモニア態窒素量は移植後の積算日平均気温に累乗曲線的な減少を示した（図８、10）。 　　これらの傾向はいずれも比較的相関が高かった。したがって、毎年同一の条件で水稲を栽培した場合は、移植後の積算日平均気温により水稲の生育はある程度予測できると考えられる。 図４　移植後の積算気温と水稲の草丈の推移　図５　移植後の積算気温と水稲の葉齢の推移 図６　移植後の積算気温と水稲の茎数の推移　　図7　移植後の積算気温と水稲の地上部乾物 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　重の推移 図8　移植後の積算気温と稲体窒素濃度の推移　図9　移植後の積算気温と稲体窒素吸収量の推移 図10　水稲移植後の積算気温と水田の土壌アンモニア態窒素量の推移 ３　気象予測を生育推定に生かす 　　図４~図10で示した回帰式を用いて、岩手農研の作況圃場において平成24年の生育調査結果と検証すると、草丈、葉齢はほぼ予測式と一致し、茎数、地上部乾物重、稲体窒素濃度、稲体窒素吸収量、土壌アンモニア態窒素量もほぼ実用上問題の無い範囲だった（表１、２）。 表１　平成24年の岩手農研水稲作況試験における生育量予測の検証結果１（ひとめぼれ） 月日 移植後の積算 日平均気温 草丈(cm) 茎数（本／㎡） 葉齢 実測 予測 差 実測 予測 差 実測 予測 差 6月5日 358 25.1 20.8 4.3 99 107 -8 5.1 5.7 -0.6 6月15日 533 28.1 28.9 -0.8 300 317 -18 7.1 6.8 0.3 6月25日 714 36.3 37.2 -0.9 477 476 2 8.3 7.9 0.4 6月30日 818 40.9 42.0 -1.1 536 541 -5 9.0 8.5 0.5 7月5日 925 43.2 47.0 -3.8 625 587 38 9.5 9.2 0.3 7月10日 1039 49.7 52.2 -2.5 654 613 41 10.3 9.9 0.4 7月15日 1154 58.0 57.5 0.5 661 616 45 10.6 10.6 0.1 7月25日 1378 70.0 67.9 2.1 606 553 53 11.7 11.9 -0.2 表２　平成24年の岩手農研水稲作況試験における生育量予測の検証結果２（ひとめぼれ） 月日 移植後の積