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杜 徳尚 （岡山大学医学部 循環器内科） 【留学先】 Toronto General Hospital, University of Toronto 【テーマ】 成人修正大血管転移症例での心機能の経年変化とその規定因子についての検討 【経過報告書】 私は 2013 年 10 月よりカナダのオンタリオ州トロントにあります Toronto General Hospital の Congenital Cardiac Centre for Adults(成人先天性心疾患部門) に留学しております。トロントは五大湖の一つであるオンタリオ湖 岸に位置し、北米ではニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴに次ぐ 4 番目の都市です。冬期はマイナス 20℃ まで気温が下がることがありますが、春から夏にかけては湿度が少なく過ごしやすいそうです。留学先の Toronto General Hospital では隣接する世界規模の小児病院である SickKids との緊密な連携の上、1959 年 より Congenital Cardiac Centre for Adults を開設しています。当該施設には出身科が循環器内科、小児循環 器科を背景とした医師が多く在籍しており、さらに精神科医も在籍し成人先天性疾患患者を包括的にサポ ートできる体制が整っています。日常臨床では、本センターのスタッフだけでなく SickKids から小児循環器 医、小児心臓血管外科医、放射線科医等と緊密な連携のうえで診療が実践されています。画像診断に至っ ても、心エコー図専門医だけでなく MRI や CT 専門医が在籍しており多方面からの意見が交わされており ます。 最後になりましたが、このような恵まれた環境で留学する機会を与えて下さいました岡山大学はじめ関係者 の方々に深く感謝するとともに、貴学会からの多大な留学助成を頂きましたことに厚く御礼申し上げ、貴学 会のさらなるご発展を祈念いたします。 【帰国報告書】 私は 2013 年 10 月から 3 年間にわたりカナダのオンタリオ州トロントにあります Toronto General Hospital の Congenital Cardiac Centre for Adults(成人先天性心疾患部門) に留学しましたのでご報告させていただきま す。私の研究テーマは心エコーも用いていますが、多くは疫学データであり本稿ではトロントの成人先天性 心疾患(Adult Congenital Heart Disease, ACHD)の診療システムについて書かせて頂こうと思います。近年、 日本でも各地にACHD センターを設立しようとする気運が高まっており、拙文がお役に立てれば幸いです。 トロント総合病院では隣接する世界規模の小児病院である Hospital for Sick Children ( 日本ではSickKids の 名前で有名な小児病院です) と緊密な連携の上、将来的に成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease, ACHD)が増加すると考え、1959 年に循環器内科の一部門として Toronto Congenital Cardiac Centre for Adults (TCCCA とも呼ばれています)を開設しました。この部門はその名の通り ACHD を専門に診療す る施設で、現在では患者数は約 8,000 人、年間外来患者数は約 4,000 人、ACHD 症例の年間開心術は約 100 例に上り、世界でも有数の患者数を有しています。スタッフの数も充実しており循環器内科医 10 名、小 児心臓血管外科医 4 名、成人心臓血管外科医 2 名、精神科医 1 名、専任看護師 2 名をはじめとして、心 血管イメージング専門医(心エコー、CT、MRI)、不整脈専門医、心不全専門医、麻酔科医、呼吸器内科科 医(肺高血圧専門医)、消化器内科医(肝臓内科専門医)、産科医、遺伝学専門医等々で構成されています。 TCCCA の循環器内科医師の背景は 6 名が成人循環器内科、4 名が小児循環器内科であり、成人と小児 の両面からアプローチできる体制が整っています。さらに 3 名はインターベンション専門医、 1 名は心不全専 門医、1 名は放射線科医、3 名は産科専門医も兼ねており各々の分野に精通した医師が配置されているの も特徴です。 トロントでは以前より移行診療にも重点をおいていました。移行診療は耳慣れない言葉かもしれませんが、 小児科から