欧米と日本の現状から.pdfVIP

司会の先生の御言葉 昨今のクローン病治療においては、生物学的製剤の登場により治療環境や患者さんのライフ スタイルが劇的に変化してきました。しかし未だ根治治療が無い中、患者さんの増加 ? 高齢化、 医療費の増大、特に本邦では生物学的製剤の使用割合が約 50%と海外に比べ非常に高いことが 問題視されています。さらに、本邦では新規薬剤の登場には時間がかかることから、患者さんの 病勢を長期にコントロールするために既存薬剤が見直されているのも現状です。 一方、生物学的製剤先進国である欧米において、最近、健常人の腸内細菌叢を利用した便移 植や食事制限といった消化管管腔からの新たな治療の試みがなされたり、欧米の研究者が日本 で実施された「生物学的製剤と栄養療法との併用試験」のメタ解析を行い報告する等、治療の パラダイムシフトが起きているのではないかと考えられる動きもみられています。 以上の点を踏まえて、本セミナーでは欧米と日本の演者の先生方にそれぞれの国の現状を 伺い、増加の一途を辿っているクローン病の最適治療とは何かについてディスカッションを行 いたいと考えています。 【司会　山本　隆行先生　御略歴】 1989 年に三重大学医学部を卒業後、同大学第 2 外科に入局後、外科医として勤務。英国バー ミンガム大学クィーンエリザベス病院および米国オハイオ州クリーブランドクリニックにて 炎症性腸疾患の臨床研究を行われ、現在は四日市羽津医療センターの IBD センター長として 臨床や研究に携わられている。 【演者　Rodolfo Sacco 先生　御略歴】 1991 年に Bari 大学（イタリア）を卒業後、同大学内科医として勤務。内科以外に救急医療、 超音波診断等にも精通されており、1999 年から 2002 年まで国立感染研でウィルス学を専攻され、 2003 年に東海大学で感染学の学位を取得。イタリアに帰国度 2007 年まで Pisa 大学病院にて 肝臓科の准教授、2007 年～ 2008 年消化器?肝臓科の准教授を歴任後、2008 年に Foggia 大の 内科の教授に就任。2012 年から Foggia 大の消化器?肝臓科の主任教授と Pisa 大学病院の 消化器?肝臓科において、IBD と肝細胞癌の外来主任を兼務され、臨床や研究に携わられている。 【演者　渡辺　憲治先生　御略歴】 1991 年に秋田大学医学部を卒業後、大阪市立大学第三内科入局後、内科医として勤務。大阪 市立大学医学部大学院卒業後、英国オックスフォード大学 Gastroenterology unit に留学され炎 症性腸疾患の基礎研究を行われ、帰国後、大阪市立大学大学院消化器内科学の講師を経て、現 在は大阪市立総合医療センターで臨床や研究に携わられている。日本消化器病学会クローン病 ガイドライン委員。