腫瘍内科専門研修プログラム（2014.pdfVIP

腫瘍内科専門研修プログラム（2014 年度） 近年、がん診療の分野は腫瘍学（oncology）として急速に進歩しており、oncology 全体を体系立て た教育や診療?研究の必要性が高まっている。特にがん化学療法の進歩は著しく、分子標的薬な ど新しい概念の治療薬も次々と登場している。つまり、有効性も向上した一方適応や毒性など 益々複雑となっている。杏林大学医学部内科学腫瘍内科は、臓器や治療手段にとらわれず、が ん治療を包括的な視野で捉えること、化学療法を治療手段として実際の診療や教育?研究を行っ ていくことを目的に、2008 年 3 月新たに開設された。また杏林大学病院は地域がん拠点病院に指 定され、2008 年 4 月、大学病院がんセンターが発足した。当腫瘍内科は大学病院がんセンターの 中心を担う診療科でもある。 当腫瘍内科は、科学に基づくがん化学療法の実践、臨床試験など新しい標準治療やより有効な 治療法の開発に関する研究を行える専門医の育成を目標としている。 特に腫瘍内科専門医としては、臨床腫瘍学を通じて、がん診療だけでなく内科一般の診療を科 学的根拠に基づいて確実に行える医師であり、心の通った診療が行える成熟した社会人であるこ と、国際的な視野に立った研究や活動が行える幅広い知識と教養を身に付けることを目指してい る。 本後期研修プログラムは、杏林大学病院および他の施設での研修を含め、2～4 年間の専門研修 からなる。 Ⅰ．研修内容 1．研修目標 本研修は、消化器がん、原発不明がんを始め、その他、難治がんの化学療法についてそれぞれ の理論的根拠や標準的治療法を理解し実践すること、化学療法の開発のための臨床試験の基本 的な事項を学ぶことを目標とする。さらに、化学療法の治療効果や有害事象の評価や臨床試験 に直接関与することで化学療法の開発に携わり、またがん診療で重要な手術、放射線療法との協 力や緩和治療など包括的ながん診療を実践していく。 研究としてはそれぞれのテーマに沿って、国内はもちろん国際学会を始めとする学会発表や英語 論文の作成を行う。積極的に米国臨床腫瘍学会（ASCO）など国際学会にも出席し、国際的な視 野に立った腫瘍内科医を目指す。またがん薬物療法専門医である日本臨床腫瘍学会専門医の 取得を必須の目標とする。 当腫瘍内科は 日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の肝胆膵グループの中核を担っており、JCOG での臨床試験や腫瘍学を研修することもカリキュラムとして取り入れている。 2．研修カリキュラム 1年次：最初の6ヶ月は腫瘍内科において入院患者を中心に診療を担当する。その後はその他 の診療科を希望に応じてローテーションし，内科全般あるいはがん診療の研修および日本内科学 会認定医?専門医や 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の申請に必要な症例を経験する。 2年次以降：腫瘍内科に戻り、外来と入院患者の診療を一貫して担当する。1～3年間、希望に - 1 - 腫瘍内科専門研修プログラム 応じて国立がん研究センターなどがん専門病院あるいは総合病院での研修を行う。 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医取得のためのカリキュラム 1) 複数の診療科のローテーションによる診療および本研修用の講義からなる。 2) 診療科のローテーション 血液内科、呼吸器内科、呼吸器外科、乳腺外科、婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科?頭頸科、整 形外科、皮膚科、脳外科、小児科から少なくとも 2 科を選択してローテーションする。緩和ケアチ ームのローテーション 1 ヶ月以上を必須とする。 3) 同カリキュラムとして実施される講義 日本臨床腫瘍学会が指定しているカリキュラムのうち他科ローテーションでカバーできない領域 について講義を受講することで研修する。 Ⅱ．取得できる専門医 1. 日本内科学会認定内科認定医，同専門医 2. 日本消化器病学会認定消化器病専門医 3. 日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 4. 日本がん治療認定医機構認定医 など Ⅲ．研修場所 1年次：杏林大学医学部付属病院 2 -4年次：1 -2年間杏林大学医学部付属病院での研修と1-3 年間の国立がん研究センターなど がん専門病院あるいは一般総合病院での研修 Ⅳ．研修の方法 1. 診療の実際 1