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医学フォーラム 305 医学フォーラム ＜部 門 紹 介＞ 大学院医学研究科小児整形外科学 療育センターの張 京先生の3人であった．少 小児整形外科学部門の設立 子化がすすみ今日，年間100万人に満たない出 平成24年，京都府健康福祉課の担当者と小児 生数だが，子供が生まれる限り小児整形外科医 整形外科学医師の不足の件で面談した．当時， は必要である．若い整形外科医が華やかな人工 舞鶴こども療育センターの整形外科常任医師が 関節手術やスポーツ関連に惹かれているのは全 退職するため，補充する人材がなく京都府の健 国的な現象であり，小児整形外科医を志す整形 康福祉課から府立医大の関係者との実情に関す 外科医は少数であるが貴重な存在である．健康 る聞き取り調査であった．小生が面談に応じ 福祉課の担当者には今回，張先生が退職，日下 て，京都府における小児整形外科医育成システ 部先生が院長職で実践からはなれ，小生の退職 ムの必要性とその重要性について話した． 後は京都府内関連病院の小児整形外科診療は壊 問題の根源は20数年間，小児整形外科医とし 滅状態となる．その際は患者を大阪府母子医療 て専門的で高度の手術手技を習得している整形 センター，滋賀県立小児医療センター，兵庫県 外科医が府内にいないことだった．その点では 立こども医療センターに紹介するしかないと説 京都府の福祉医療の充実度は小児整形外科にお 明した．これらの施設では常勤の小児整形外科 いては日本の最低レベルに位置していた．この 医が多数（4～10名）従事しており，レベルの 20数年間，運動器疾患の子供たちの治療を誰が 高い小児整形外科医療を提供している．また， 行ってきたのか．京都府立医大関連病院では現 数年のローテーションで小児整形外科医の育成 在の京都第二赤十字病院院長である日下部虎夫 を担っており，上司が退職すると後輩が継承す 先生とその指導を受けた小生および舞鶴こども るという形で存続してきた．京都府の行政とし 306 医学フォーラム ては府民を他府県で治療することはできない． がない．他府県の肢体不自由児施設から人材を そこで，府立医大での小児整形外科医の育成シ 確保するしかないと府の健康福祉課の担当者に ステムが必要と認識され，吉川学長主導で知事 申しあげた．しかし，健康福祉課も他府県から の決定により，平成25年4月に小児整形外科部 の人材確保に努力したようだが無理であった． 門が発足し，小生が部門長に任命された．平成 どの施設も人材を供給できる余裕がないため 25年7月からは病院教授を拝命した．現在，小 だ．地域医療のために手術が必要な肢体不自由 児運動器センターが開設され週3回の外来を 児に手術時期を逸することなく対応できるシス 行っている． テム作りが必要である． 小生の残り少ないエネルギーを，小児整形外 小