座長集約放射線治療施設の放射線管理をもっと理解しよう.pdfVIP

治療分野 座長集約 放射線治療施設の放射線管理をもっと理解しよう 座長 山形大学医学部附属病院 放射線部 鈴木幸司 【座長集約】 最近の放射線治療は治療機や照射技術の進歩でより高精度な放射線治療を行えるようになりました。そ のため品質管理、品質保証が重要となってきています。しかし、高精度な放射線治療も適切な放射線管理 があって初めて可能となります。放射線管理もまた患者ならびに従事者の安全確保のためにとても重要で す。そこで今回のテクニカルミーティング放射線治療分野のテーマは、これまでとは少し視点を変えて放射 線管理について取り上げてみました。放射線管理というと放射線診断?放射線治療に関係なく、放射線取 扱主任者（以下主任者）や放射線管理者（以下管理者）に任せきりになっている施設も多いように思われま す。また、主任者や管理者は実際に放射線業務に携わっていない事が多く、その場合実務を担当してい る放射線技師が管理業務を行わなければなりません。放射線管理の基本はコンプライアンス（法令の遵 守）に徹することはもちろんですが、日頃の繰り返し行われる管理を通し安全性を高め維持していくことに あります。そのため我々一人一人が放射線管理についてもっと理解しておく必要があると考えます。 放射線治療に関する放射線管理は、障害防止法、医療法、電離則などさまざまな法律によって規定され ています。特に障害防止法による管理が大きな割合を占めています。また、リニアック等の直線加速装置、 密封された放射性同位元素（密封小線源）、密封されていない放射性同位元素などに大別され、それぞれ の施設によって必要とされる管理内容は異なってきます。今回演者のお二人には違う施設状況の立場で 自施設の放射線管理についてお話しいただきました。 鶴岡市立荘内病院の五十嵐智氏には「リニアックのみを有する施設の放射線管理について」と題し、放 射線関係法令の話から、リニアック施設で実際に定期確認?定期検査を受けた際に指摘された項目や、日 常の保守点検について結果を示しながらお話しいただきました。さらに管理業務に関するご提案をいただ きました。 財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院の岡善隆氏には「リニアックと密封小線源を有する施 設の放射線管理について」と題し、主にリモートアフターローディングシステム（192Ir線源）の放射線管理や、 放射線量の測定から教育訓練等についてお話しいただきました。 それぞれわからないことは文部科学省に問い合わせているようでした。以下に発表の内容をまとめてい ただいております。また、東北部会のHPで今回の発表内容を閲覧できます。それと照らし合わせて読んで いただくとより理解いただけるようになっています。 発表後には使用時間や方向利用率の問題など、どの施設でも悩んでいることを活発に意見交換するこ とができました。座長の力不足でうまくまとめられなかったかもしれませんが、今後は他施設との情報交換 がもっと活発にできるようになれば幸いです。 放射線管理というテーマはこれから放射線治療を勉強される方にはあまり興味をもたれない内容であっ たかもしれません。しかし、放射線をきちんと管理していくことは放射線を取り扱う我々放射線技師の義務 です。まず、自施設の放射線障害予防規定を読むことから始めてください。あなたの施設ではどのような管 理をしなければいけないかが書いてあると思います。もっともっと放射線管理を理解し、より安全な放射線 治療を目指しましょう。 最後に演者のお二人と会場で御意見をくださった方々にこの場をお借りして御礼申し上げます。 リニアックのみを有する施設の放射線管理について - 現場実務の立場での放射線管理 - 鶴岡市立荘内病院 放射線画像センター 放射線治療LINAC室 五十嵐 智 【はじめに】 「放射線管理」では施設長をはじめ、部署長?放射線取扱主任者など管理責任者にかかわる問題も多い のですが、サブタイトルにもあるように、あくまで「現場実務の立場」に重きを置いた話にいたしました。 また当院では以前、密封線源による治療も行ってはいましたが?現在はLINACによる外照射だけですの で「LINACにおける放射線管理」に的を絞っており