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14/05/09 1 倫理学基礎 ? Introduc0on ?to ?Ethics ? ー倫理学って何をするの? ?ー ? （４）中世ヨーロッパの倫理 浜渦辰二 ? （文学研究科／倫理学?臨床哲学） ２０１４年１学期金２ 復習 ?? 前回は、「古代ローマの倫理」ということで、 ? ?? 古代ギリシアから古代ローマへと、 ? ?? 継承あるいは変形されるなかで、 ? ?? 古代ギリシア哲学（ヘレニズム）とユダヤ?キリスト教（ヘブ ライズム）とのつなげられ、 ? ?? 両者が共存する中世ヨーロッパ世界が準備されていくが、 ? ?? そのなかで「死」をめぐる思想が底辺に流れて行くように思 われる。 ? ?? こうした繋がりのなかで、中世ヨーロッパにおいて、「知るこ と」と「信じること」との和解が目指されるにいたるが、それ が今回のテーマとなる。 ? 皆さんの感想から一つだけ紹介 ?? 高校の倫理の授業ではある一つの思想をぶ つりぶつりと切って教わったので、ある思想が 他の思想と融合しまた新たな思想がうまれる という、このつながりを知れておもしろかった。 ? ?? 「汝自身を知れ」の本当の意味を初めて知り びっくりしたが、この誤解した解釈からまた新 たな思想がうまれたり、それに影響される人 もうまれたと思うとおもしろいなと思った。 ? 一冊の本を紹介 ?? 入不二基義『哲学の誤読ー入試現代文で哲学する！』（ちくま新書、 2007） ? ?? 日本では高校のカリキュラムに「哲学」という科目はない。自分で哲学 書のたぐいを読む人を別にすれば、大部分の高校生は、大学に進学 して初めて「哲学」という科目?分野に接することになる。しかし、その 大部分の人も、実は大学に入る前に、すでに哲学に接している。 ? ?? そう言われると、「倫理」という科目のことなのかな、と思われるかもし れない。たしかに、「倫理」では、ソクラテス?プラトン?アリストテレスな どの哲学者の名前が出てくるし、実存主義などの哲学思想も出てくる。 でもそれは、「哲学史」や「思想史」には少しだけ似ているかもしれな いが、「史」のつかない「哲学」、「思想」ではない「哲学」からは、ほど 遠い。「哲学」は、哲学的に思考する活動そのものであって、哲学者の 名前や残したことば?思想を覚えることでは、まったくないからである。 ? ?? では、どうして「その大部分の人も、実は大学に入る前に、すでに哲学 に接している」と言えるのか？　それは、「国語」（「現代国語」あるいは 「現代文」）があるからである。「国語」の授業や試験の素材として、哲 学の文章がかなり使われている。特に、大学入試の場合が、顕著で ある。 ? 一冊の本を紹介（続） ?? 本書は、大学入試（国語）の問題として出題された「哲学の文章」 を、徹底的に読み解く本である。その精読の課程で、「誤読」に注 目する。「哲学の文章を誤読するというのは、どういうことか」を、実 例に即して検討する。 ? ?? 第一章では問題作成者の「誤読」を、第二章では問題解説者の 「誤読」を、第三章では私（入不二）の「誤読」を、第四章では問題 文の著者の「誤読」を扱う。要するに、すべてのポジションにおいて 「誤読」が生じる。 ? ?? 同一の文章であっても、入試という限定されたゲームのなかで読 まれる場合と、哲学という独特のゲームの中で読まれる場合とで は、違った様相を呈する。 ? ?? この書を離れても（同書の主張ではないが）、伝統的にしばしば、 「哲学の歴史は、誤読の歴史である」とか「誤読こそが生産的な継 承を作る」とかと言われている。 ? ?? それはともかくとして、先週の続きに話を戻そう。 ギリシア哲学とキリスト教 ?? 古代ローマ帝国において、古代ギリシア哲学（ヘレニズ ム）とキリスト教（ヘブライズム）を繋げる試みが始まり （先週の話）、それが、中世ヨーロッパにおいて、「ヘブラ イズムとヘレニズムの統合」へとつながっていく（今週の 話）。 ? ?? それは、非常に異質な世界観の出会いであり、日本に おける神道と仏教、あるいは、東洋と西洋の出会いに 比せられ、主にキリスト教とイスラム教の衝突を描いた ハンチントン『文明の衝突』（1998）とも比せられる（これ も先週示唆したこと）。 ? 　　　　 ? 14/05/09 2 中世ヨーロッパとは ?? ローマ帝国が東ローマ帝国と西ローマ帝国に分裂（395年）し、西ローマ帝国は、 ゲルマン民族大移動により、476年に滅亡、東ローマ帝国（ビザンチン帝国）は、 1453年にオ