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国内外における「子どものための哲学」 の教室から “Philosophy for Children (P4C)” in Japan and the World 提題者：土屋陽介（茨城大学：非常勤講師） ワークショップ：子どもは哲学するか？ 国内外における「子どものための哲学」の教室から 目次 ?市民教育としての哲学教育 ? 「子どものための哲学（Ｐ４Ｃ）」という授業 ? Ｐ４Ｃの授業風景：ハワイと日本の教室から ?紙上対話によるＰ４Ｃ ? Ｐ４Ｃを日本の初等中等教育へ ?いくつかのお知らせ 高等?中等教育における哲学教育の現状 ?国内外を問わず、哲学?思想?倫理学などは、高等教育（大 学）において最も中心的に教えられている。 ↓but その前段階として、後期中等教育（高校）においても「哲学」 「倫理学」などを科目として設置している国や地域は多い。 ?フランスのリセ ?ドイツやオーストリアのギムナジウム ?日本の高校での「公民科：倫理」 ???etc ? これらの科目で教えられていることの中身 ?哲学史や哲学説の解説 ?哲学的問題についての議論 ?いくつかの基本的な概念（「愛」「正義」など）について、哲学 史や哲学説に正確に言及しながら自分の考えを論理的に述 べる（筆記?口述ともに）訓練 ユネスコやＥＵが推進している「哲学の教育」 ? これに対して、 ? ものごとを合理的?批判的に思考する ? 意見の異なる他者と対話（議論）を通して真理の共同探求を行う ? われわれの常識や日常生活の基盤を反省的に問い返し、既存の 権威や思考の枠組みにとらわれることなく自由に考える 哲学の営みがもつ以上のような特徴を利用して、「自分自身で 考え、主体的に判断し、他人の意見を尊重しつつ理性的な対 話を行っていく市民の教育」を推進していこうとする動きもある。 → ＵＮＥＳＣＯやＥＵが推進している「哲学の教育（Philosophy Education, Philosophy Teaching）」 ＝「自由な市民を涵養する」ための哲学教育 民主主義教育の一部としての哲学教育 哲学を支持するパリ宣言（ＵＮＥＳＣＯ） ※詳細は配付資料１を参照 ?われわれは、哲学が扱う諸問題が人の生や存在について の普遍的な問題であるということを注記する。 ?われわれは、哲学的反省が人間の諸問題を理解したり、導 いたりすることに寄与できるし、寄与するべきだと信じている。 ?われわれは、哲学の実践が自由な議論からいかなる考えも 排除せず、推論の筋の妥当性を検証したり、他人の話をより 吟味したりするために、使用されている概念の正確な定義 を確立する努力を行うものであると考えており、このような哲 学の実践はそれぞれの個人が独力で考えることを学ばせる ものだと思っている。 哲学を支持するパリ宣言（ＵＮＥＳＣＯ） ?われわれは、哲学の教育（philosophy teaching）が公平さ、 市民の責任、個人や集団の間の理解や寛容を促進すること を強調しよう。 ?われわれは、哲学の教育（philosophy education）が独立 した精神をもち、思慮深く、さまざまな形のプロパガンダに 抵抗することができる人々によって為されるならば、現代の 世界における大問題、とりわけ倫理的領域における大問題 に関して、各人が自らの責任を背負うよう心構えさせるという 点を再確認しよう。 ?われわれは、教育や文化的生活において哲学的討論を発 展させることが、いかなる民主主義においても基礎となる判 断の能力を鍛えることによって、市民の訓練に大きな寄与を なすことを確認しよう。 既存の哲学教育と「哲学の教育」の相違 ?既存の哲学教育 ? 高等教育（大学）や後期中等 教育（高校）が中心。 ? 哲学史や哲学説を教えること が中心。哲学説をできる限り 正確に理解することを通して、 哲学的な思考法を身につけ ることが中心。 ? 「哲学の教育」 ? 初等教育（小学校）や前期中 等教育（中学校）が中心。場 合によっては幼稚園や保育 園でも取り組まれる。 ? ものごとを合理的?批判的に 考えたり、意見の異なる他者 と理性的に対話するための技 術を教えることが中心。 ?「哲学の教育」を行うための具体的な教育プログラムとして、 現時点で最も教材や方法論の開発が進んでいるのが「子ど ものための哲学」である。 「子どものための哲学（Ｐ４Ｃ）」という授業 ?子どものための哲学（Philosophy for Children, P4C） ? 1960年代末から1970年代にかけて、アメリカの哲学者マ シュー?リップマン（Matthew Lipman; 1922-2010）が開 発した子ども向けの哲学対話教育プログラム。 ? 一時