年金情报（从业员向け）.doc

（Ｈ27年1月） 地方活性化のカギは雇用の場の確保にあるようです！ 昨年９月、地方創生の旗印のもと、安倍内閣に「まち?ひと?しごと創生本部」が新設されました。その目的は、人口急減?超高齢化、東京圏への一極集中という日本が直面する人口問題に政府が一枚岩となって取り組み、各地方?地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続可能な社会を創生すること、それにより地方への人の流れをつくることにあります。「しごと」が「ひと」を呼び、「ひと」が「しごと」を呼び込む好循環の確立こそが「まち」に活力を与えるという理念のもと、「魅力あふれる地方の創生」を実現するための様々な施策がこれから展開されようとしています。 これまでのアベノミクスの成長戦略は、グローバルな視点での戦略（外国資本を呼び込んで雇用につなげる、自由貿易協定を結んで輸出につなげる等）が中心でした。しかし、仮にそれらが実を結んだとしても、それによってローカル（地方）経済が潤うということは、ほとんど期待できるものではありませんでした。「まち?ひと?しごと創生会議」のメンバーでもある冨山和彦氏（㈱経営共創基盤 代表取締役ＣＥＯ）も「Ｇ（グローバル）経済とＬ（ローカル）経済は、ルールも経済原理も違う全く別の経済であり、それを論ずる際はこの二つを明確に分けて論ずることが求められる。仮にＧの経済圏で頑張っているトヨタや日立、パナソニックといった企業がどれほど好調になったとしても、それで本当に潤うのは日本国民の２割に過ぎない。」と述べています。したがって、残り8割の国民を潤わせるためにも、地方の活性化が最重要課題であることがわかります。 そのような中、長年にわたって人口流出に悩んできた過疎の町の取り組みが、先日テレビで放映されていました。以下にその内容を紹介します。 ●隠岐諸島の海士（あま）町（島根県松江市の沖合約60キロにある島） 生活支援：例えば、千葉から移住してきて岩ガキの養殖業を営むＴさんに対し、自立するまでの３年間、町から月額15万円の生活費を支給。 事業支援：事業拡大のための貸付制度として、町がその事業を応援したい人を全国から募集。利息はお金ではなく島の特産品とし、7年後に事業者が一括返済することになっているが、返済できない場合には町が立て替えて返済。 財源確保：町長が自らの給与を50％カット。ほかの職員も給与カットに同意して、年間2億円を確保。 効　　果：人口2,300人の町に10年間で437人が移住。2013年には減り続けてきた町の人口が増加に転じた。移住者によって、農業、水産業、ＩＴなどの分野で14の会社が立ち上がった。 ●岩手県紫波郡紫波（しわ）町（盛岡市から約20キロ南に位置する人口3万の農業の町） 施設建設：町有地に身の丈にあった複合施設を建設。地元の野菜が安く手に入る産直市場、図書館、子育てママを支える託児所、学習塾、音楽スタジオなど、様々な公共施設と民間のテナントが同居した施設で、年間延べ80万人が利用。 建設費用：民間の町づくり会社を設立し、国からの補助金に頼らず、銀行の厳しいチェックを受けた上での融資により費用を賄ったことで、当初の建設費の３分の１以下、45億円に抑えることができた。 運営管理：テナントからの税収???年間1,500万円）を施設の維持管理費に充てるだけでなく、テナントの店子に施設の運営費を出資してもらい、施設運営に参画することでやる気を引き出している。 昨年5月、少子化や人口流出により2040年には全国1,800市町村の約半分が消滅するという衝撃的な予測が発表されましたが、それを回避するカギはこのような取り組みにあると考えます。（工藤克己）