最低生计费水准-全労连.doc

【春闘方針付属資料】 すべての労働者に保障されるべき最低生計費の水準について ―　賃金底上げ運動の強化のために　― (1)全労連の賃金?所得政策の柱は「生計費原則」です。衣食住と子の養育、本人と家族の健康を維持し、働き続けられるだけの費用（労働力の再生産費）を重視し、賃金闘争における具体的な統一賃金要求額としては、全産業?全職種にわたるすべての労働者を視野に入れ、だれもが保障されるべき賃金として「最低生計費」を満たす水準を要求しています。 2012年春闘では賃金の実態をふまえ、単身者を対象に「『時間額1,000円、日額7,500円、月額16万円』以下の労働者をなくす」という目標をたて、職場の労使交渉や法定最低賃金の改定交渉をとおして、要求の達成?前進をはかってきたところです。 (2)しかし、実際に低賃金で働き暮らしている労働者からは「時間額1,000円では1人暮らしの生活も支えられない」と声があがっています。加盟各組織で取り組まれた『最低生計費試算調査』（京都、首都圏４地方、東北ブロック、静岡、九州ブロック、愛知、広島、四国ブロックで実施）の結果からも、単身世帯?男性25歳モデルで月額23万円（時間額換算で約1,500円）程度は必要との結果がでています。当面の目標を定めた2013年春闘統一賃金要求とは別に、最低生計費をベースにした1,000円以上の目標値について明らかにする必要がでてきています。 (3)また昨今、30代以降の世帯形成期になっても低賃金で働き、結婚も出産もできず、単身生活を続ける男女労働者が増えています。このままでは人口が減少し、日本社会の持続可能性が危ぶまれるとの見方もあるほどです。そこで、単身者だけでなく、世帯形成期の労働者の賃上げ闘争を支えるための要求根拠の提示が必要となっています。 (4)以上の状況をふまえ、「全労働者を対象とした賃金要求において参照すべき２つの最低生計費水準」を提示することにしました。各組織で賃金に関する要求討議の際に活用いただきたいと考えます。 ①どこでもだれでも、最低限保障されるべき最低生計費の水準は； 　年額280万円、月額換算23万円　 この水準を月150時間労働(一時金なし)で確保するには時間額1,533円必要となります。 ②世帯形成期以降の男女労働者に保障されるべき最低生計費の水準は； 　年額420万円、月額換算35万円　 この水準を月150時間労働(一時金なし)で確保するには時間額2,333円必要となります。金額の根拠は「社会の持続?再生産を可能とする水準」です。社会の持続を可能とする標準的な世帯モデルは核４人世帯（親２人子２人）ですが、昨今増えている1人親世帯の生活保障には、核４人世帯の最低生計費を半分にした額では不十分です。そこで、少なくとも「親1人が子ども1人を扶養しながら働くことができる最低生計費」が保障されるべきと考えます。  資料