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〈琵琶湖と人の暮らし〉 ４-５ 石けん運動 　１９７７年５月、琵琶湖に淡水赤潮が発生し、その原因の一つが合成洗剤に 含まれているリンに起因することがわかり、県民が合成洗剤の使用をやめ、 粉石けんを使おうという運動が、いわゆる「石けん運動」である。 　1970年頃から、赤ちゃんのおむつかぶれや、主婦の湿疹被害などが発生し、滋 賀県内各地で合成洗剤が問題ではないかという議論があった。婦人団体等が 中心となり、その勉強会や石けんの共同購入運動などがはじまり、特に石けんの 共同購入は大きな広がりを見せていた。 　そうした中、1977年5月、琵琶湖に悪臭を放つ赤褐色のプランクトンの大発生・ 淡水赤潮が大発生した。その原因の一つが肥料や当時当たり前のように広く使 用されていた合成洗剤に含まれている「リン」ということがわかった。この赤潮の 写真4-5-1合成洗剤の追放を目指した石けん運動（1970年代） 発生を契機に消費者団体をはじめとする各種団体など県民が主体となり、リンを 含む洗剤の使用をやめ、天然油脂を主原料とした粉石けんを使おうという運動が はじまった。これがいわゆる「石けん運動」である。 　琵琶湖を守るため、粉石けんを使おうといううねりの中で、1978年に主婦層を 中心に「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動」県連絡会議（現在は「びわ 湖を守る水環境保全県民運動」県連絡会議）が結成された。この連絡会議が 中心となって行政に対して早急に実行のある対策を強く要求し、1980年7月リン を含む家庭用合成洗剤の販売・使用・贈答の禁止、窒素やリンの工場排水規制 を盛り込んだ「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例」（通称：琵琶湖 条例）が施行された。 　こうした滋賀県での石けん運動の取り組みは全国的な注目を集め、国内の合 成洗剤からリンが除かれたが、無リン合成洗剤の登場などによって、粉石けんの 使用率は徐々に低下している。 　こうしたことから、石けん運動の中心となった「びわ湖を守る水環境保全県民 琵 運動」県連絡会議は、現在、従来の石けん使用推進運動だけでなく、身近な水 写真4-5-2石けん運動１０周年記念集会（1988年６月） 琶 湖 環境を守る運動、さらには、時代の要請に応じて視野を地球環境問題に広げ、節 と エコライフ推進課 人 水、廃棄物処理、リサイクル、省エネルギーなどについて一人ひとりが身近な生活 の の中で見直そうとする運動「エコキッチン革命」を2000年から展開している。 関連する項目は　　 5-3 暮 ら し 【淡水赤潮】ウログレナ・アメリカーナという植物プランクトンが水温１５～２０℃のときに大量に発生する現 【エコキッチン革命】台所は家庭における最も大きな環境負荷の源であり、水、ゴミ、電気・ガス等のエネ ルギーとも密接に関わる場所。台所から環境に配慮した暮らしのあり方を考え実践する運動を「エコキッチ 象で、４月末から６月初旬に見られる。 ン革命」と呼んでいる。 150 151