交通秩序の規範と日本人の法意識について.pdfVIP

1) * 交通秩序の規範と日本人の法意識 について A model and the japanese law awareness of the traffic action* ** *** 堂柿栄輔 ・簗瀬範彦 By Eisuke DOGAKI** Norihiko YANASE*** ・ １．研究の動機と目的 日本人の法意識 (1) 我が国の交通秩序の規範は道路交通法にあるが， (2) 2) 3) 交通に係わる 過去の研究動向 例えば速度制限 や路上駐車規制 では，違法行為 法意識の事例 (4) は当たり前のように繰り返され，今日の経済社会活動 と市民生活が成り立っている．交通規制の遵守が徹 (3) 過失相殺の事例評価 底できない理由が，交通管理者の業務多忙との指摘 近代法制定の背景 もあるが，もしこれが社会・市民総意の強い支持であ (5) ればかなえられないことはでない． 交通秩序の理解 都市交通手段としての自動車の重要性は欧米と我 (6) が国で同様であり，従って道路交通秩序の維持も同 道路交通法運用上の課題 様に望まれることである，法が による規制の実効性は 1) 大きく異なると言われている．これは，(イ)日本人にと 図－1 研究の内容 って，法律の意味が欧米のそれとは異なるからでは ないか，(ロ)交通秩序の形成において，法とは別の規 4) 道路法の目的は道路の整備を図ることであ，道り 範が我が国にあるのでははないか，そう考えたことが 路交通法の目的は交通の安全と円滑及び障害の防 5) この研究の出発点である．この視点が適当か否かは 止を図ることにある．ここで道路事業では，道路整備 以降検証することになるが，是非を断定することは難 の必要性の根拠として道路の交通容量の確保が常 しく結論として曖昧な部分は残るであろう． に重視されるが，都市部ではむしろ街路機能の共存 道路がより機能するために，道路管理者は横断構 方法6)87))9)10) が問題となることが多い．幾つかの交通主 成や線形を工夫し，交通管理者は交通規制や信号 体が，限られた交通空間の中で各々の機能を求める 機の管