乳腺科専門医養成概要-web.hosp.kanazawa.pdfVIP

乳腺科 専門医養成ｺｰｽ 概要 乳癌の患者は全世界的に増加の一途をたどっており，我が国においても１年間に６万人 以上の新たな患者が見つかっています。これまで我が国での乳癌診療は，外科の診療の一 部として行われてきましたが，乳癌人口の増加や，EBM 基づいた診療概念の専門性から， 独立した診療部門の必要性が求められてきました。このような全国的な乳腺専門の診療科 の必要性から当院でも乳腺科が2006 年7 月に新設されました。乳腺科は乳腺疾患の診断と 治療を専門に担当する新しい診療科です。この科は外科診療科（旧第２外科）から独立した ものの現在のスタッフの多くは乳腺外科医からなります。しかし診療内容は乳癌検診，診 断，外科治療（手術），内科治療（化学療法，内分泌療法），放射線治療，病理診断，ターミ ナルケアなど多岐にわたっています。これは，診断技術の向上と，固形癌が以前と違い手術 治療のみではなかなか根治することは難しく，集学的治療が必要になってきていることの表 れです。今後は外科医だけではなく，放射線科，腫瘍内科など，それぞれの分野に精通した スタッフを増やして行きたいと考えております。 当科は，従来当院において消化器外科，乳腺甲状腺外科を担当してきた第二外科から臓 器別診療科の流れの中で独立しました。乳腺科は原則として研修課程では日本外科学会専 門医を取得することを目標に，外科全般を学び修練することが必須であります。これは日本 乳癌学会専門医取得において，各診療科（外科・内科・放射線科）の専門医を取得すること を条件としているからです。従って，後期研修期間中は胃腸外科，肝胆膵・移植外科を含め た三診療科に配属されることとなります。 女性の方は，現在，医師の仕事と家庭の両立が問題となっています。外科や腫瘍学に興 味を持ちながらもメジャー系の外科に入ると家庭との両立が難しいという理由から諦めてい る人も多いかと思います。乳腺科の業務は他の外科業務と比べて緊急業務は少なく，日中 の外来や検診業務が多いため，家庭を持った女性でも，平日の日中の勤務やパートタイム だけでも，実践的な臨床の勘を落とすことなく，仕事と家庭の両立が可能である分野である こともあり，全国的にも女性医師の方の占める割合が増加しております。「外科手術や癌診 療も興味があるけれど，家庭も大切にしたい・・」を考えている女性の方にもお勧めです。 また，乳腺科で扱う疾患のほとんどは女性に多い疾患（特に乳癌）です。働き盛りの女性 がかかる乳癌の治療は，癌治療だけではなく，仕事や家庭の環境も含め治療を計画しなけ ればいけません。女性の方は，是非とも同性の目線で乳癌の女性の治療を考えてあげるこ とができるという点では，自分の性別を仕事に生かせるチャンスです。 この分野はいままでは外科医にのみ頼ってきましたが，今後，専門的な乳腺科医の需要 はますます増えることは間違いありません。全国的にはこの分野の女性の医師も増加傾向 です。当院の新しい診療科で共に癌診療にclinical oncologistとして情熱をかけてみません か！ 当科の特色 乳癌を主とする乳腺疾患の診断と治療を専門に担当しています。 外来診療では初診，再診合わせて，１日60人近い患者さんの診療を行っており，外来化学療法施 行件数も月に120件と院内の外来化学療法の30%を当科で担っています。手術も月10-15件前後行 っており，スタッフ一人あたりの担当患者数では院内でもトップクラスで臨床面では充実した経験 を積めます。 乳癌外科としては，整容性を考えた乳房温存療法やセンチネルリンパ節生検といった低侵襲で根 治性の高い手術を積極的に行っており，必要に応じて形成外科医と連携して乳房再建術も行いま す。このように乳腺外科の領域では，腫瘍外科と形成外科の二面的な治療の考え方や技術を習 得することができます。 乳癌では薬物療法が急速に進歩しており，当科では１週間に約40名近い患者さんが外来でさまざ まな内分泌療法や抗癌剤治療を受けており，これらの治療を選択していくことも乳腺科の腫瘍内 科医としての重要な仕事です。また，乳癌検診の２次精査も行っており，１日５－１０人前後の新 患を診ており，乳癌の確定診断のための針生検や切除生検を外来にて行っております。 たくさんの外来患者さんを少数のスタッフで診察しているためときには外来診療が18時すぎまで かかることもしばしばありますが，ひとりひとり丁寧な診察を心がけています。 手術は長時間手術ではありませんが１日2