早稲田大学心理学会瓦版第16116616号別冊号別冊 山口山.PDFVIP

早稲田大学心理学会瓦版第早稲田大学心理学会瓦版第16号別冊16号別冊 早稲田大学心理学会瓦版第早稲田大学心理学会瓦版第1616号別冊号別冊 　山口　山口　創　創　　（やまぐち・はじめ） 　　山口山口　　創創　　 「皮膚「皮膚と心と心」（」（要約要約）） 「「皮膚皮膚とと心心」（」（要約要約）） 桜美林大学・リベラル まず私が何故こういうテーマで研究をしてい アーツ学群・准教授 るかと申しますと、二年前に春木豊先生が、 1996年早稲田大学大 この早稲田大学心理学会でご講演をされた 学院人間科学研究科 とのことですが、春木先生が提唱されていま 博士課程修了後、聖 す身体心理学を、大学院の頃からずっと研 徳大学講師を経て、 究をしておりまして、私は、中でも皮膚に関心 2008年より現職。 があり、皮膚と心の関係について、ここ数年 著書　『愛撫・人の心に触れる力』（ＮＨＫブッ やってまいりました。 クス）・『子どもの｢脳｣は肌にある』（光文社 新書）・『皮膚感覚の不思議』（講談社ブルー １．１．皮膚皮膚の基礎的研究の基礎的研究 １１．．皮膚皮膚のの基礎的研究基礎的研究 バックス）など。 五感というと、視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚 という五つを指しますが、他の四つの感覚と 較べて触覚だけがちょっと特殊な位置にある 光洋先生の研究のいくつかを紹介しますと、 と言われています。触覚以外の四つの感覚 まず、皮膚のケラチノサイト自体が、ホルモン は、刺激と器官か一対一の対応をしていて を合成し、分泌していて、他の細胞にいろい 特殊感覚と呼ばれています。一方、特殊感 ろ命令を下しているということが分かって来ま 覚に対し体性感覚という感覚があり、その内、 した。また、ＮＭＤＡ受容体というのが皮膚で 体の外部から来る刺激を受けとるのを皮膚 発見されました。従来は脳にだけ、特に記憶 感覚と言い、この中に触覚が含まれます。一 を司る海馬に多量にあり、記憶や学習に関 般的には五感という風に一括りにしています 与していると考えられていたものが、表皮に が、触覚と触覚以外の感覚とは、まったく別 もあることが分かって来たとのことです。さら の次元のものなのです。また触覚というのは、 に、ケラチノサイト細胞を培養して布みたいな 刺激が来たときには、すぐに反応して分かる 大きさに育てると、その薄膜じたいが振動を のですが、その刺激が続いていくと、慣れて 始め、その振動を波のように伝えていくという しまって感じなくなってしまいます。こういった 不思議な現象を見つけられました。 ことも触覚の特徴の一つです。 ２．２．皮膚皮膚の治療の治療 ２２．．皮膚皮膚のの