超音波ドプラ法を用いた指尖血流測定による 過敏性腸症 ….PDFVIP

超音波ドプラ法を用いた指尖血流測定による 過敏性腸症候群の自律神経機能評価 Characterization of autonomic dysfunction in patients with irritable bowel syndrome using fingertip blood flow ＊1 ＊2 ＊2 ＊2 ＊1 田中　俊昭 ・眞部　紀明 ・楠　　裕明 ・畠　　二郎 ・石井　　学 (Toshiaki Tanaka) (Noriaki Manabe) (Hiroaki Kusunoki) (Jiro Hata) (Manabu Ishii) ＊1 ＊1 ＊1 ＊1 佐藤　元紀 ・鎌田　智有 ・塩谷　昭子 ・春間　　賢 (Motonori Sato) (Tomoari Kamada) (Akiko Shiotani) (Ken Haruma) ＊1 川崎医科大学内科学（食道・胃腸科） ＊2 川崎医科大学検査診断学（内視鏡・超音波部門） 検討１：超音波ドプラ法を用い 背景と目的 た指尖血流評価法の確立 過敏性腸症候群（irritable bowel syndrome； １．対象 IBS）は便通異常に関連した慢性・再発性の下腹 自律神経機能異常を認めず，自律神経機能に影 部痛あるいは不快感によって特徴づけられている 響を及ぼす薬剤を内服していない健常者40例（男 機能性消化管障害（functional gastrointestinal 性21例，女性19例，平均年齢27.7歳）を対象とした。 1） disorder；FGID）の代表である 。自律神経は中 枢神経と消化管を結ぶ伝導路であり，IBSの病態 ２．方法 の１つにその機能異常が関わっているとする報告 静かな環境で安静臥床とし，右手第２指の指尖 2）-5） が散見されるが，不明な点も多い 。また現在， に超音波プローブを接触させ，指尖より１cm中 臨床応用されている自律神経機能検査法の中で非 枢側の固有掌側指動脈分岐の血流波形を寒冷刺激 侵襲性，リアルタイム性，再現性，感度などあら 前後で評価した。また，左手第２指の指尖血流の ゆる面で優れた手法は少なく，その評価は必ずし 変化をレーザードプラにより同時に測定した。寒 も容易ではない。しかしながら，近年の超音波診 冷刺激には氷（０℃）を用い，被験者の左前腕に 断装置の進歩により，微小血管の血流評価が可能 １分間接触させた。指尖血流の測定については， となり，自律神経機能評価への応用が期待されて 安定した波形が得られた時点を前値とし，寒冷刺