海及建筑物影响関研究.pdfVIP

２ 海が及ぼす建築物への影響に関する研究 （１）研究概要海が及ぼす建築物への影響に関する研究 「豊かな海から学ぶエコマインドを持ったエンジニアの育成」のために、建築科 では塩害に関する学習や体験的学習通して、塩害に強くエコな建築材料である木材 への興味関心を深めさせ、木材に関する学習を進化させるとともに、海沿いの気候 を十分に考慮した建築物が提案できる工業技術者の育成にむけて研究を進めてきた。 また、その過程で校外の各機関との協力体制の確立や、情報発信をおこなった。 （２）実施内容 ① 建築物の塩害に関する研究 ② 塩害付着による木材強度変化に関する研究 ③ 木造住宅模型（一坪ハウス）を利用した研究 ④ 研修参加 ⑤ 体験的学習 ⑥ コンテストや検定試験へのチャレンジ ⑦ 各種団体との協力関係の確立 ⑧ 建築物の設計 ⑨ 情報発信（ＨＰ、科報、設計展） （３）研究成果 ① 建築物の塩害に関する研究 ア いわき市内における塩害対策の現状調査（１年次） 塩害の現状について調査する。いわき中・南部に位置する海岸付近において は、土地形状さまざまに平地同様建築物が建ち並んでいる。塩害被害（腐蝕等） は見た目ではあまり感じることができない。文献やインターネット、また、本 校建築科ＯＢ（地元建設系企業等）から、塩害現状の調査では次のような情報 を得ることができた。 ・塗装での塗膜処理････経過耐久を長期化するため外（表）面への塗装等の施 工 ・材料、材質の選択････錆にくい、腐りにくい材質、材料を選択し施工 ・設計施工････木造、ＲＣ造に関わらず、設計施工段階で考慮し技術革新によ る耐久性維持と研究成果による実現 ・自然環境････海岸付近の自然環境の中で生息する｢木｣への影響は、特段ない ようである。実際に海岸沿いの現状調査をした結果、塩害被害 を受けず自然に生息する木として黒松が目を引いた。 新舞子浜公園内松林の現状 イ 学校周辺の塩害被害についての調査 ａ 鉄筋コンクリート構造物の塩害発生状況調査 ○鮫川水系ダム管理事務所 鮫川水系ダム管理事務所の方々にご協力いただき、管理区域内で塩害は 起こっているのか、どのような材料が塩害に強いのかなどを質問してきた。 管理している２つのダムはどちらも電気設備の腐食が内陸部に比べ早く起 きたそうである。それぞれ海岸より 10 ㎞も離れているが、川伝いに風が塩 分を運んできたためではないかと考えられている。現在は塩害による被害 を少しでも減らすためにかぶりを厚くしたり、コンクリートに、吹きつけ タイルや樹脂を利用したりといった対策が施されている。構造物以外にも 電気設備には溶解亜鉛メッキや塩害に強いシートを張ったり、ステンレス 製のものを使ったりなど細部にまで気をつけているそうである。しかし、 そういったものを使用するには費用の問題があると聞いてきた。 今まで知らなかったいろいろな事を教えていただきましたが、植田町内 の塩害被害についての調査はまだ誰もやったことがないらしく前例がない とのことなので、どのように行っていけばよいかはわからなかったが、貴 重なヒントをいただいた。 ○コンクリートの塩害調査 植田町内でコンクリートの塩害と思われるひびわれの写真を撮ってくる