専门编集-株式会社中山书店.PDF

序 一昔前まで，我々の周りには皮膚病理組織学に精通した皮膚科の先生が大勢おら れました．若い頃，私のお師匠様（故西尾一方教授）はもちろんのこと，近隣の先 生達の中にもその道の達人がおられ，研究会では侃々諤々の討論が展開されていま した．他の大学や地域でも同様の状況であったようです．翻って昨今はそのような 達人は次々と姿を消し，我々皮膚病理組織学を生業とする仲間内でも「絶滅危惧種」 であると密かに囁かれています． 皮膚病理組織学を手がける若者が少なくなった背景には，分子生物学や免疫学な どの華やかな分野に人気があること，一方古い学問である形態学を柱とする病理組 織学には泥臭いイメージがあること，用語の難解さ，論文のインパクトファクター の低さ，などが挙げられるのだろうと思います．しかし何といっても所見を読むの に経験あるいは時に職人芸が必要である，ということに尽きるようです．確かにそ のような面もあるのですが，病理組織を読み解くのに必要なちょっとしたコツさえ 身につければ，誰もが簡単に皮膚病理組織学の世界に入っていけるのも事実です． 本書がその道標になれば，との思いで専門編集の大役を引き受けました． さて本書の構成としては，既存の皮膚病理教本との差別化を図るため，誰もが知 りたいポイントにテーマを絞り，痒いところに手が届くような解説やコツを各分野 のエキスパートの先生にお願いしております．常々知りたかった，専門家でも迷う ような難しい所見はもちろんのこと，海綿状態，液状変性，核破砕像，細胞の異型 性など，普段から何気なく使っている用語について，ベテランでも目から鱗という 解説に納得されることと思います． 皮膚科診療は形態学を基本としていますので，皮膚科に携わる人は同じ形態学で ある皮膚病理組織学が苦手であるはずがないと思います．本書がちょっとしたきっ かけになることを祈ってやみません． 最後に専門編集者に抜擢いただいた古江増隆教授，そして本企画にご賛同くださ り，お忙しいなか原稿を書いてくださった執筆者の皆様には深く感謝申し上げま す．また準備段階で，テーマについてのアイデアを出してくれた皮膚病理仲間であ る安齋眞一，三砂範幸，鶴田大輔，信藤 肇の各先生にも深謝いたします． 2012年3月 専門編集　山元　修 鳥取大学医学部感覚運動医学講座皮膚病態学分野 9 Contents 1 2 2 7 3 21 4 24 5 27 6 32 7 37 8 46 9 52 10 55 11