中西年-nakanishi.PDFVIP

」 語 物 年 百 刷 印 西 中 「 北海道写真製版の元祖　 おうさく 中西應策 　中西印刷の創立者、中西應策は北海道 の写真製版の元祖といわれています。明治 45（1912）年、北海道初の写真製版所であ る「中西冩眞製版所」を創設以来、中西印 刷の沿革は、本道写真製版業の発達史を 物語るものでした。 32 養父・中西美暢 小川一真に弟子入り 　中西印刷の初代社長中西應策は、明治3（1870） 　應策は父から写真術を教わりました。しかし進取 年、桂家の三男として生まれ、その後、写真師である の気性に富み、向上心に燃えていた應策は、到底一 み のぶ 中西美暢の養子となりました。養父である美暢は元 地方の写真師だけでは満足できませんでした。16歳 松前藩士でしたが、明治10（1877）年頃、榎本武揚 の時、意を決し単身上京。当時洋行帰りで評判の小 や土方歳三などのポートレイトや創建時代の札幌な 川一真の門を叩き、弟子入りを乞いました。しかし、一 ど北海道開拓事業の記録写真を残した日本写真界 介の田舎少年に過ぎない應策の申出など簡単に容 のパイオニア、田本研造に入門し、写真術を修行。そ れられるはずもなく、けんもほろろに断られたのです の技術を身に付けた後、青森市米町（現在の本町5 が、諦めずに何度も歎願した結果、ついに小川もそ 丁目付近）の中西家へ養子に入り、写真師中西美暢 の熱心さに感じ入り、弟子入りを許したのです。 として塩町（現在の青柳2丁目付近）に写真館を開 小川は、應策の技量を試そうと東京市内の風景を撮 業しました。美暢の妻も写真術を身に付けており、特 影させたところ、大変質の高い写真ばかりだったの に修正が得意で、大いに内助の功を発揮したといい で、その中からセレクトしたものを小川が『東京百景』 ます。 として世に出し、好評を博しました。 　美暢は、地方の写真師としては出色の腕前だった 　小川は、アメリカ留学中、ボストン市のアルバートタ ようで、明治33（1900）年の第5回パリ万国大博覧会 イプ社で写真製版とコロタイプの技術も身に付けて に写真を出品し、銅メダルを受賞しています。 いたので、應策をその担当者とし指導